第96回選抜高校野球大会の出場32校を決める選考委員会が26日に大阪市内で行われる。21世紀枠候補9校の1つ、北海道地区の別海は、選出されると甲子園史上最東端の出場校となる。マネジャー3人を含む19人の少数精鋭チームが吉報を待つ。
学校所在地は、生乳生産量日本一を誇る別海町。人口1万5000人に対して、町内で飼育される乳牛が10万頭を超す酪農のまちとして知られる。雄大な大地とおいしい牛乳で育った球児たちが、21世紀枠を手にできるのか、期待と緊張を抱きながら発表を待っている。
そんな日本随一の酪農タウンにはかつて、町名の呼称をめぐって議論が続けられてきた歴史がある。「べつかい」と「べっかい」。町名の読み方をこの2通りで迷いがちだ。北海道出身の記者も「べっかい」と読んでいたことがある。正しい名称を確認すべく、町役場に取材すると「どちらも正式な呼称として認めています」と意外な答えが返ってきた。
この呼称問題は09年の町議会で決着をみた。同年5月発行の議会広報誌「議会だより べつかい49号」に掲載された当時の町長による行政報告の要約によると、07年に取りまとめた「町名の歴史的背景」の調査により「どちらにも正当性があり、否定する根拠がないことが分かった」と記されていた。呼称について「多数決という決め方では解決しない」とした上で、「両方とも容認することが望ましい」と結論づけていた。
要約には、公式的にどちらかを選ばなければならない場合は「べつかい」として周知するという方向性も示されており、実際に町のホームページをのぞくと、アドレスには「BETSUKAI」の文字が並んでいた。呼称問題は町を広報する上で前向きな材料として捉えている様子で、町職員は「どちらの呼び名でも町のことを広く知ってもらえるのはいいこと」と話していた。
別海が甲子園出場を果たせば、町の名前は全国にとどろくことになる。甲子園球場のアナウンスではどちらの読み方で読まれるのか。出場を果たしたナインと一緒に確認したい。【石井翔太】