亡き恩師にささげる勝利を-。御殿場西は森下知幸前監督(享年62)が、今年1月に急逝後、初の夏を迎える。主将の加藤優弥内野手(3年)は「絶対に甲子園に行かなきゃいけない」。ナインは1992年(平4)春のセンバツ以来、夏は初となる甲子園出場を目指して前を向く。

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16人の3年生を中心に、ナインの活気あふれる声が響き渡る御殿場西のグラウンド。監督室の片隅には、笑顔の遺影がそっと置かれていた。亡き森下前監督への思いを胸に挑む夏が、いよいよ始まる。意気込みを語る加藤主将の言葉に、自然と熱がこもった。

「3年生は特に気持ちが強い。絶対に甲子園に行かなきゃいけないと、夏に向けて共通意識を持ってやってきた。森下先生に甲子園出場を報告したい」

忘れられない言葉がある。「この代なら甲子園に行ける」。森下さんが生前、当時副部長だった竹内健人現監督(31)らに明かしていた思い。新体制スタート時のミーティングで、竹内監督から伝え聞いた。

メンバーの多くが昨年から主力として活躍。期待は感じていたが、「甲子園」の文字を具体的に出していたことは知らなかった。加藤は「森下先生に言ってもらえていたことが自信になった。それと同時に、もっとやらなきゃいけないと思った」と奮い立った。

チームの武器は強力打線。さらに進化をさせるべく、昨夏から取り組んできた肉体強化を1月末から本格化させた。週1回の体重測定を必須にしたことで、1人1人の意識も変化。筋力トレーニングなどに加えて食事にも気を使った。直近4カ月で4番岡本祐汰外野手(3年)が約7キロ、3番名古竣祐内野手(3年)も約9キロ体重が増加した。

効果は数字になって表れ始めた。低反発バットが導入された3月以降の試合で、チームは16本塁打を記録。岡本は「打球の速度、伸びが全然違う」。今春は県予選でプロ注目の小船翼投手(3年)擁する知徳に2-6で敗れたが、成長は実感している。

森下さんが常葉菊川(現常葉大菊川)を率いてセンバツ優勝を果たした07年。チームの代名詞は「フルスイング打線」だった。その名将の下で学んだ約2年間の集大成。岡本は「自分たちが打てなかったら負け、ぐらいの気持ちでいく」と言葉に力を込めた。森下先生が見守る青空へ-。甲子園へとつながる快音を響かせる。【前田和哉】