2回戦が始まり、夏の全国初制覇を狙う広陵(広島)が逆転で初戦を突破した。プロ注目の最速148キロ右腕、高尾響(ひびき)投手(3年)が9回6安打1失点で完投。最終回に一打逆転サヨナラ負けのピンチを背負ったが、プロ顔負けの投球で2者連続三振に仕留めた。歴代7位の甲子園春夏40勝目をプレゼントされた中井哲之監督(62)も「ぶち、うれしい」と会心だ。 広陵のエース高尾は一度、首を横に振ってからうなずいた。2-1の9回1死二、三塁。カウント1-2から糸を引くような直球を左打者の内角にズドン。この日最速の146キロで見逃し三振を奪うと、なおも続くピンチではフォークで空を切らせ、グラブをパチンとたたいてほえた。

「絶対にバットに当てさせないという気持ちを持って投げました。一番気持ちが入った。勝ってホッとしています」

過去3度の甲子園はすべて最終回の失点で敗戦。「1点の厳しさを学びました」。苦い経験はもう十分だ。「そういうことが絶対ないように。経験が生きました」とギアを上げて打者を封じ、胸を張った。

センバツで制球に苦しんだ反省をもとに、フォームを固定。足を早く上げつつ高くならないように修正し、制球力を向上させた。この日最大のピンチでも外角中心の配球から裏をかく内角直球。自信をつけた1球がズバリとハマった。テレビ中継で解説を務めた元日本ハムの斎藤佑樹氏(36)も「プロ野球の選手の球を見ているよう。最高のボール。あれ以上ないくらいのボールでした」と大絶賛したベストボールだった。

尊敬する中井哲之監督(62)に木内幸男氏、阪口慶三氏と並び歴代7位タイとなる甲子園春夏40勝目もプレゼント。高尾の力投で7回に試合をひっくり返した指揮官も「広島弁で言うと、ぶち、うれしいですね」と会心だ。

広陵は春3度の優勝があるが、夏最高は準優勝。高尾自身も聖地では3度、涙をのんできた。「1戦1戦、目の前の相手だけをつぶす気持ちで、その先に日本一がある」と腕ぶした。16日の3回戦はV候補の東海大相模とぶつかる。自身“四度目の正直”へ、ここで立ち止まるわけにはいかない。【林亮佑】

◆高尾響(たかお・ひびき)2006年(平18)5月22日生まれ、福岡県糟屋郡粕屋町出身。粕屋中央小1年から土井ジャガーズで野球を始める。粕屋東中では飯塚ライジングスターボーイズに所属。広陵では1年春の中国大会で背番号1で初めてベンチ入りし、同年明治神宮大会では背番号11で準優勝。2年春から再び背番号1をつけ、2年センバツで4強入りするなど、今回で4季連続甲子園出場。最速148キロで5人兄弟の末っ子。50メートル走6秒3。遠投120メートル。173センチ、74キロ。右投げ右打ち。

◆監督勝利 広陵・中井監督が甲子園で春夏通算40勝目。監督勝利の40勝到達は9人目(7位タイ)。