<高校野球西東京大会:日大三9-3日大鶴ケ丘>◇28日◇準決勝

 日大三が、予想外のスモールベースボールで日大鶴ケ丘にリベンジした。1点を追う5回、鈴木貴弘捕手(3年)が右越え二塁打で出塁すると、吉永健太朗投手(3年)がすかさずバント。清水弘毅内野手(3年)が中前打でかえした。豪快な打撃音に地味な金属音を織り交ぜ、勝利を呼び込んだ。

 バントだけではない。7回には主砲の横尾俊建内野手(3年)、高山俊外野手(3年)が続けざまに盗塁して生還。この回3点の猛攻につなげた。2人ともノーサインの自己判断。1点を取りに行く意識は、選手にも浸透していた。小倉全由監督(54)は「高山の盗塁で相手を揺さぶれたかな」と効果を強調した。

 相手エースの岡孟杜(たけと、3年)が好調と見るや、小倉監督は手堅い攻めを展開した。ここまで1試合平均11・6点と大勝続きのチームが、4犠打に4盗塁。「バントというのは『積極的な攻め』だと思っています」と説明した。日大鶴ケ丘は昨夏の西東京大会など、昨年だけで2度も敗れていた。天敵を破り、2年ぶりの夏の甲子園へ王手をかけた。決勝の相手は早実。5年前は決勝で斎藤(現日本ハム)に敗戦。小倉監督は「完璧な野球をしないと、早実さんには勝てませんよ」と言う。甲子園への最後の1歩も、石橋をたたきながら刻むつもりだ。【森本隆】