<高校野球南北海道大会:札幌日大9-1北海道栄>◇準々決勝◇18日◇札幌円山球場

 札幌日大が北海道栄を7回コールドで下し、2年ぶり2度目のベスト4入りを決めた。地区から26イニング無失点の好投手三沢祐輔(3年)を3回に攻略。2死二塁から3番山崎友也一塁手(2年)の先制左中間二塁打を口火に、6番の鎌田達哉左翼手(3年)まで4連打で4点を奪い、試合の主導権を握った。

 3回、札幌日大の「連打ショー」に一塁側スタンドがお祭り騒ぎとなった。2死二塁、3番山崎が左中間を割る二塁打で先制点を奪う。4番水野大が左中間へ適時打を放つとボルテージは上がる。スタンドに分かれて応援していた野球部員約60人と、サッカー部など自主応援の生徒たち約100人がメガホンを手に入り交じり、1つの輪になって歓声を挙げた。5番山田も左越え二塁打、6番鎌田も渋く遊撃内野安打し、4連打で4点をもぎ取った。

 地区から26イニング無失点の好投手・三沢の「勝負球」対策を徹底した。1年生2人が16日の北海道栄と苫小牧東戦のビデオを撮り、配球表をつくり分析した。出した結論は高めに浮いてくるスライダーは捨て、低めのスライダーを打つ。前日17日はベンチ外の3年生16人が「三沢役」を買って出て、外角低めのスライダーばかりを投げ続けた。この日も午前までスライダー打ちの特訓に費やした。

 1巡目こそ三沢のスライダーの前に無安打に抑えられた。しかし、2巡目に入った3イニング目に好投手を打ち崩した。スライダーをジャストミートした山崎と水野大は「スライダー狙いがうまくいきました」と笑顔で特訓効果を話した。直球を二塁打した山田は「ベンチ外の3年生16人はもちろん、野球部員79人がひとつになった結果です」と一致団結しての好投手攻略を喜んだ。

 昨秋全道で北海に1点リードの9回2死から逆転本塁打で敗れた。この悔しい試合が現チーム活力の原点だ。屋内練習場にはその試合を掲載した紙面が壁に貼り付けてある。「北海戦の経験から1球、1点、1プレーの重みをかみしめながら練習しています」と森本卓朗監督(31)。9回2死などさまざまな場面を想定したイメージ練習をさせ、うまくいかないと両翼95メートルの学校グラウンドを60秒で1周する罰走がついた。

 前回10年夏は準決勝で優勝した北照の前に屈した。小笠原主将は「次も野球部員79人、束になって戦いたい」と、21日の準決勝(対札幌龍谷学園)への熱い思いを話した。【中尾猛】