<高校野球山口大会:岩国商2-1高川学園>◇29日◇決勝◇西京スタジアム

 岩国商が三重殺で1点差勝ちの流れをつかんだ。0-0の2回無死一、二塁。高川学園・中林達成内野手(3年)の安打性の打球が右翼線へ。先制適時打か。しかし、そこに岩国商の横田啓樹外野手(3年)がいた。打球方向を予測して右翼線寄り前方に守備位置をシフトしていた横田がキャッチ。飛び出していた走者を一塁→二塁と転送して刺し、ピンチを脱した。

 横田は「ビデオを見て、あの打者は直球に詰まって逆方向へ飛んで来ると思いました。三重殺は初めて」としてやったりの笑みだ。相手の準決勝の映像を何度も見て、各打者の特徴を研究していた。ポジショニングも自分の判断だった。高橋由弥投手(3年)は「あの回、失点する可能性があったのに。『ナイス、ライト』と言いました」と感謝した。

 今春のセンバツで高橋は履正社を1-0で完封。その経験が逆に重圧となっていた。中内(ちゅうない)博和監督(43)は「自分が抑えないとと思って、どんどん(不調に)はまっていった」と明かす。そんな中、捕手の栗栖徹主将(3年)を中心に相手の傾向と対策を練った。野手が高橋の投球を理解し、自分たちの判断で動くことで、高橋を信頼させた。

 山口では06年南陽工以来7年ぶりの春夏出場。栗栖主将は「夏は勝って勝って全国優勝します」と力強く宣言。自信に満ちあふれる岩国商ナインが夏はさらに完成度の高い野球を披露する。【石橋隆雄】

 ◆岩国商

 1929年(昭4)に岩国町立岩国実業公民学校として創立。53年から現校名の県立校。総合ビジネス科、国際情報科がある。生徒数は359人(女子266人)。野球部は37年に創部。部員は59人。甲子園は春1度、夏は4度目。主なOBは競輪選手の三輪梓乃。所在地は山口県岩国市平田5の52の10。河本太校長。◆Vへの足跡◆

 

 

 2回戦7-0熊毛南3回戦8-0光準々決勝4-2宇部鴻城準決勝10-0早鞆決勝2-1高川学園