日刊スポーツ記者がお勧めする全国の有望選手にスポットを当てる「ピカイチ投手編」。

 下館工(茨城)のエース谷中規彦投手(3年)は「追い込んだら三振を狙う」と、攻めのスタイルを貫いて急成長した。昨秋の県2回戦(対鹿島学園)では延長10回の末に惜敗したが、9奪三振で1失点完投。春の県1回戦(対日立北)では県タイ記録の10者連続を含む15三振を奪って一躍、「茨城のドクターK」の異名が定着した。

 根っからの負けず嫌いだ。横瀬雄亮主将(3年)は「勝負ごとになると顔つきが変わる」と話す。部員と野球ゲームに興じる際は、前日から流し打ち練習をする本気ぶり。勝負になれば遊びでも妥協しない。

 入学時は120キロ台だった球速も、走り込みとウエートの成果で最速142キロに到達した。決め球は「縦スライダーと間違われる」というカットボール。直球と同じ腕の振りで、本塁手前で鋭く沈み、打者を惑わす。さらに投球の幅を広げるため、新球ではフォークの習得に挑んでいる。打撃でも新チームから4番に座るなど、まさに攻守でチームの大黒柱。ノーシードから全国へ。谷中の最後の夏が始まる。【鈴木みどり】