<高校野球沖縄大会:沖縄尚学6-1糸満>◇20日◇決勝◇コザしんきんスタジアム

 今夏の甲子園一番乗りは、沖縄尚学が逆転勝ちで決めた。8回に西平大樹外野手(3年)の中前適時打で勝ち越し、糸満を破った。「琉球のライアン」エース山城大智投手(3年)は、7安打1失点で完投。4季連続、夏は2年連続7度目の「最強世代」が、悲願の夏全国制覇を狙う。

 グラブをポンと右手で1回たたいた。最後の打者を遊ゴロに仕留め、沖縄尚学の山城大が甲子園行きの喜びを表したのはそれだけだった。「自分たちには通過点。ここが最終目標ではないので」。沖縄大会断トツの優勝候補のプレッシャーを堂々とはね返した。

 苦しい決勝戦だった。3回までは常に先頭打者を出し、セットポジションでの投球だった。左足を大きく胸の前まで上げるライアン投法ができなかった。それでも、鋭く落ちるツーシームを低めに投げ、相手にバントをさせず、ゴロで凡打を重ねた。

 4回、3連打で1点先制されても「周りが見えていた」と冷静だった。今春センバツでは、準々決勝で豊川(愛知)に2回5失点でKOされた。周りが見えずデータも対策も「すべて頭が真っ白になり吹っ飛んだ」という姿は、もうない。比嘉公也監督(33)も「春の九州大会以降は、気持ちの面でかなり成長している」と認めた。

 昨春から4季連続の甲子園だ。スタメン9人中、4大会すべて出場した選手は5人もいる。比嘉監督が「沖縄尚学の歴史を塗り替えてきた子たち」と自信を持つ最強布陣で、夏の頂点を目指す。春は2度優勝も、夏はまだ2勝したことがない。山城大は「1勝、2勝、そして最終目標は全国制覇」とはっきりと口にした。心身ともに成長した琉球のライアンが最後の夏、甲子園でも豪快に暴れる。【石橋隆雄】

 ◆沖縄尚学

 1956年(昭31)、私立沖縄高として創立。83年に現校名。普通科に体育コースと特別進学コースがある。生徒数は1117人(女子514人)。野球部は57年に創部。99年春、沖縄勢初の全国制覇。部員72人。春6度、夏は7度目の甲子園出場。主なOBはソフトバンク東浜巨投手。那覇市国場747。名城政次郎校長。◆Vへの足跡◆2回戦1―0沖縄水産3回戦10―0那覇国際準々決勝7―0嘉手納準決勝13―2宜野座決勝6―1糸満