<高校野球新潟大会:中越10-0柏崎>◇21日◇4回戦◇新潟市鳥屋野球場

 中越は小林史弥内野手(2年)の先頭打者本塁打を皮切りに4本塁打を放ち、柏崎を6回コールドで下した。1つのチームが1試合で4発打ったのは、1950年(昭25)の柏崎以来、64年ぶり大会タイ記録。勢いに乗り、24日予定の準々決勝で、この日、18安打14得点で長岡工を圧倒した第1シードの日本文理と対戦する。

 歴史的なアーチ量産の口火を切ったのは、1番小林史だった。初回、内角高めに投じられた4球目の直球を強振した。「塁に出ることを考えた結果。行った感触はなかったが、レフトの頭を越えた手応えはあった。真っすぐを待っていた」。自身初の先頭打者弾で、公式戦2本目の本塁打を左翼に突き刺した。

 小林史に続き、同じ初回に4番斎藤颯(りゅう)内野手(2年)が左越えに放つと、4回には5番小野育央外野手(3年)、6回には代打の金子雄斗外野手(3年)がアーチをかけた。1チームの1試合4本塁打は大会タイ記録。64年前に記録をつくったのが、この日の相手・柏崎という皮肉な巡り合わせでもあった。

 猛打を誘発した小林史は第2、第3打席でも安打を放ち、3安打2打点。背負うものがあった。チームは小林史を含めて6人の2年生がスタメンを占める。

 「自分が試合に出ることで、出られない3年生の分まで」

 開幕2日前、白根球場で北越と練習試合を行った。今大会の登録から外れた3年生中心のメンバーだった。「先輩が今まで自分たちを支えてくれたことが力になっている。応援することでしか返せない」。スタンドから声がかれるほど応援し、試合に出られない3年生の勇姿を目に焼き付けた。

 力をもらった。前日20日の白根との3回戦で小林史は4度凡退していた。5度目の打席前に、背番号17の三好樹外野手(3年)が駆け寄った。「俺のバットを使え」。全体練習後の自主練習で、連日のように午後8時半まで一緒に振り込んだ先輩のバットで、7回コールド勝ちとなる適時二塁打を放った。この日の3安打も三好のバットから生み出された。

 次戦の準々決勝は、第1シードの日本文理と激突する。小林史は言葉に力を込めた。「今までそこしか見てきてなかった。そこに勝って甲子園に行く」。チームの先頭に立ち、1日でも長い夏にする。【高橋洋平】

 ◆新潟大会での1チーム1試合4本塁打

 50年(昭25)の3回戦・柏崎-糸魚川戦で、柏崎が記録して以来、64年ぶり最多タイ。柏崎は近藤、本間、大倉、千原の4者が放った。

 ◆小林史弥(こばやし・ふみや)1998年(平10)3月16日生まれ、新潟県長岡市出身。堤岡中を経て中越へ進学。1年秋からベンチ入り、今夏から背番号3。180センチ、68キロ。右投げ右打ち。