<センバツ高校野球:興南10-0大垣日大>◇2日◇準決勝

 興南(沖縄)が初優勝に王手をかけた。昨秋の明治神宮大会覇者の大垣日大(岐阜)に10-0で完勝。大会NO・1左腕、島袋洋奨(ようすけ=3年)が7回2安打6奪三振無失点と好投した。打線も山川大輔捕手(3年)の先制弾など、4戦連続2ケタ安打でエースを援護。沖縄県勢春夏通算80勝を挙げ、08年沖縄尚学以来の紫紺の大旗にあと1勝に迫った。3日、39年ぶり2度目の優勝を目指す日大三(東京)と対戦するが、東京と沖縄の決勝は春夏通じて初。

 甲子園の観客に沖縄の強さを存分に見せつけた。大垣日大を投打で圧倒した。60年春、那覇が沖縄代表として初めてセンバツに出場してちょうど半世紀。島袋の左腕が県勢春夏通算80勝目を挙げ興南の初優勝に王手をかけた。

 「今日は気持ちよく投げられました。今日のマウンドは最高。甲子園では一番良かったです」と、左腕はさわやかな笑みを見せた。普段は厳しく自身の投球を振り返るが、この日ばかりは満足度100%だった。1回から140キロ台の直球を投げ込んでいく。直球でストライクを取り、小気味よいリズムで5回まで無安打に抑えた。6回に自分のグラブに打球を当てて初安打を許したが、クリーンヒットは1本だけ。準々決勝で10得点を挙げた大垣日大打線に二塁さえ踏ませず、7回でお役御免。「今日は島袋本来の投球だった。思い通りの投球でしたね」と我喜屋監督も目を細めた。

 チームの甲子園での最高成績は、我喜屋監督が主将だった1968年夏の4強。決勝までたどりついた後輩を「目の前で越えてくれれば喜ばしい」とたたえた。エースにとっては、2年前にテレビで見ていた沖縄尚学が立った同じ決勝という舞台。「明日も今日と同じ投球ができれば最高です」と力を込める。再び紫紺の優勝旗を沖縄へ持ち帰るために、マウンドに立つ。【前田泰子】