<高校野球山形大会:寒河江工6-0加茂水産>◇12日◇1回戦
あっぱれな1年生だ!
公式戦初登板で先発した寒河江工の1年生左腕、太田達人が、加茂水産戦で7回1/3を投げ、11者連続を含む18奪三振の快投を演じた。最速は110キロほどながら、90キロ台のカーブを低めに集め三振の山を築いた。継投したエースの林真矢(3年)も残りのアウト5つを三振で奪い、6-0の快勝劇を圧巻の23Kリレーで飾った。
次々に三振を奪っても表情ひとつ変えない。167センチの小さな体を目いっぱい躍動させて、太田はキャッチャーミット目がけて、黙々と投げ続けた。振り逃げによる1イニング4奪三振の珍記録を含む、18奪三振の記録を聞かされたのは試合後のこと。「思った以上に三振を取れたけど数字を聞いて驚いた」と、うれしそうに振り返った。
軟式野球時代の中3の地区総体では20奪三振を記録した。しかし「今日は、たまたまカーブのキレが良かったから」と分析。本人の“自己申告”でも、これまでの最速は117キロ。この日も110キロ程度の直球を見せ球に、縦に大きく割れる90キロ台のカーブで相手打線を手玉に取った。
大会前に背番号「11」を勝ち取った。だがベンチ入りを逃した3年生を見ると素直に喜べなかった。それでも先輩から「おれの分も頑張ってくれ」と声をかけられ、太田は吹っ切れた。「先輩方のために、1球1球に気持ちを込めた」と一球入魂を胸に秘めた。
吉川文夫監督(41)が太田の先発を決めたのは1日のこと。紅白戦での出来の良さに、15年間の監督生活で初めて、初戦で1年生の先発を決めた。もちろん、これほどの快投は想定外。うれしい誤算に「ここまで良いとは思わなかった」と満足げだ。継投したエースの林も「あいつは強い心を持っていて、一人で黙々とタイヤを引いたりしてる」と後輩から刺激を受ける。
チームは4月の春季地区予選で東海大山形にノーヒットノーランで敗戦。その後、部員の不祥事で1カ月間、対外試合ができなかった。スーパールーキーの登場で、沈みがちなチームに明るい光が差し込んだ。

