<全国高校野球選手権:大阪桐蔭16-2日田林工>◇7日◇1回戦

 大阪桐蔭が降雨ノーゲームからの再試合で日田林工(大分)を圧倒し、大阪勢の夏140勝をマークした。1番の浅村栄斗(ひでと)内野手(3年)が5安打で打線をけん引。13-1の7回には奥村翔馬外野手(3年)がとどめの3ランを放ち、同校史上最多の16点を挙げた。前日6日のノーゲームでの4点を含め、2日で大量20点を奪った。

 勝っていた試合がノーゲームになろうが、この強力打線があれば心配はいらない。初回、試合開始のサイレンが鳴り終わらないうちに、浅村が初球を中前に打ち返す。先頭打者の安打が先制点につながり、猛攻が始まった。4回まで毎回の7得点。中盤6、7回に9点のダメ押し。同校史上最多16点で初戦を突破した。

 1点を先制した1回裏の守備。無死一塁での二塁カバーで、浅村は犠打を処理した福島由登投手(3年)からの送球を落球。浅村はエースの好フィールディングを無駄にしたことを悔やみ、「絶対に打って取り返す」と目の色を変えた。結果は2打席目以降もヒットを連ね、5打席連続安打で出塁。4度ホームを踏む激走と初戦の緊張感で、試合終盤は右足がつったほど。

 北大阪大会優勝後、日田林工の大分大会のビデオを見続けた。相手エース末次群(3年)の特徴を「立ち上がりは球が浮く傾向があって、変化球が抜ける。配球は真っすぐが多め」と分析。前日も初打席で安打を放ち、“6打席連続”の快打。西谷浩一監督(38)は「素晴らしい1番打者です」と目を細めた。

 「栄斗(ひでと)」の名は、父哲弘さん(48)が名付けた。「斗」は「北斗七星」からで「一番星輝け」の願いを込めた。「人には必ず一番になれるものがある。それに向かって一生懸命頑張れ」の思いから。浅村の場合は、それが野球。兄2人が野球をしていた影響で、おむつも取れないころから練習試合を見に行った。井高野中3年の夏、辻内崇伸(巨人)、平田良介(中日)らの甲子園4強進出を見て大阪桐蔭に入った。最後の夏のはなばなしい甲子園デビューを「試合に勝ちたかったからだと思います」と、振り返った。

 2年ぶりの夏出場に、日本ハム中田らから差し入れが続々。前日は阪神岩田が宿舎をたずね、タオルを贈ってくれた。先輩のようなスターは、今年のチームには見あたらない。だが、浅村といい、7回に中堅バックスクリーンに3ランを放った奥村といい、甲子園でスターが誕生するかもしれない。【堀まどか】