<全国高校野球選手権:金沢6-1桐生一>◇7日◇1回戦

 試合を終えた桐生一・福田治男監督(46)は「選手は一生懸命やってくれた。采配がさえなくて申し訳ない」と声を絞り出した。大会直前の7月31日に現役2年生部員がわいせつ容疑で逮捕された。1日には学校側に辞意を伝えたが、大会直前ということで慰留された。今後について問われると、しばらく考え込んで、「これだけ世間を騒がせることが起きた。ちゃんと責任を取らなくてはいけない」と辞任する意向を示した。

 現役部員の逮捕という異例の事態の中、甲子園出場が認められた。前日6日は選手だけでミーティングを行った。グラウンドでは野球に集中すると誓ったが、チャンスを生かせなかった。2回にスクイズで先制点を許すと、4回は1死三塁、6回は1死二、三塁で無得点に終わった。鈴木佑太主将(3年)は「ミスはあったけど、全員で戦えたのでうれしい。ここの球場でやれたことを感謝したい」と気丈に話した。事件の影響を問われると「ありません」と繰り返した。

 田中清文投手(3年)清村悦礼投手(3年)の2投手は、「松井2世」金沢・林を3三振に抑えた。鈴木主将は3安打を放ち、守備でも好プレーが光った。それでも勝利には届かず、激動の夏が終わった。【前田祐輔】