<全国高校野球選手権:倉敷商2-0佐賀商>◇9日◇2回戦

 北京五輪日本代表星野監督の母校、倉敷商(岡山)は2-0で佐賀商を破った。

 倉敷商のエース木元は勝利の余韻に浸った。111球目。こん身のストレートで最後の打者を空振り三振に仕留めた左腕は、腕の振りの勢いそのままに体ごと三塁側を向いた。視線の先、三塁側アルプス、内野席の喜ぶ姿が映る。バス56台、新幹線4両を貸し切って駆けつけた総勢3700人の大応援団とともに、名門の19年ぶり甲子園勝利を味わい「最高です!」と声を弾ませた。

 パワーの源は偉大なOB、北京五輪野球日本代表の星野仙一監督(61)の存在だ。星野仙一記念館オープニングセレモニーの行われた3月、過密日程の中、星野監督自ら母校訪問を志願した。全校生徒を前に「倉敷商が好きです。つらいこと、苦しいこともあるだろうが、全力で頑張ろう!

 我々も金メダルを狙います」と激励された。

 また大会直前にはバット10本とお守りがOB会長経由で贈られた。「勝利護身」の文字と星野監督の似顔絵入りのお守りを、ナインはバッグに忍ばせている。

 エースの完封勝利で岡山県勢甲子園通算100勝目だ。次の相手は常葉学園菊川。試合日は星野ジャパン初戦と同じ13日だ。金メダルを狙う大先輩に、後輩が恩返しの金星を届ける。【佐藤貴洋】