夏の甲子園で16日、みちのく勢最後のとりでとなった聖光学院(福島)が、県勢37年ぶりの4強進出をかけ登場。準々決勝で“東の横綱”の横浜(南神奈川)と対戦する。福島県出身者が3人いた仙台育英(宮城)を破った横浜に対し、4季連続レギュラー出場の菅野修平外野手(3年)が「弔い合戦」に燃える。勝てば県勢初の神奈川勢撃破、また甲子園通算8勝となり磐城の7勝を抜いて県勢最多勝利数。初8強から、さらに歴史を塗り替える。

 友人の分まで、の思いを込め、菅野が熱心にバットを振った。15日、聖光学院ナインは兵庫・西宮市の鳴尾浜臨海公園野球場で3時間の練習を行った。仙台育英を破った横浜との決戦を前に、菅野は「勝ちたい」と意気込んだ。

 仙台育英には穂積優輝投手(2年)、小野悠介二塁手、遠藤尚馬遊撃手(ともに3年)の3人の福島出身の選手がいた。練習試合も毎年行うことから交流は深い。菅野は特に小野と仲良し。今大会中もメールを送るなどして激励し合った。

 その友人たちが敗れた試合をテレビで見た。「両チームともうまいな」と感心しながらも、バットを手に取った。横浜・土屋健二投手(3年)の投げる姿に合わせスイングした。画面と打席では投手の見え方が違うが「僕はタイミングが合えばいい」とリズムを取ってスイングしたという。

 昨春からのレギュラー。過去7試合した甲子園を「庭のように感じてきた」という。今夏は県勢33年ぶり、同校初の8強入りを果たしたが「去年も2勝で、今年も2勝ですから。気にしていない」と言い放つ。

 準々決勝以降は未知の領域だ。「ここからが本当の戦い」と菅野。1戦1戦が歴史になる。県勢は過去神奈川県勢に4敗。初勝利がかかる。横浜を倒せば同校初の1大会3勝、71年の磐城以来、県勢37年ぶりの4強、また甲子園通算8勝で県勢単独トップの勝利数。数々の歴史をつくることになるが、菅野は「これからも聖光の歴史は続きますから。次の試合に負けない気持ちで臨むだけ」と気負いなく話した。【清水智彦】