<全国高校野球選手権:横浜15-1聖光学院>◇16日◇準々決勝

 横浜(南神奈川)の新怪物、4番筒香嘉智内野手(2年)が記録ずくめの大爆発で7年ぶりの4強進出を決めた。5回に2ラン、6回に2打席連続の満塁本塁打を放つと、5打席目は2点適時二塁打。1試合個人最多タイの8打点を稼ぎ、大会通算14打点は1大会個人最多タイになった。王者の強さで聖光学院(福島)に15-1で圧勝。

 横浜の新怪物・筒香が試合後、ホッとした表情を見せた。「幻にならずによかったです」。6回に満塁本塁打を放った直後、突然の雨に試合が中断した。待つこと42分、どうにか再開され2打席連続本塁打が記録に残った。

 最初に度肝を抜いたのは5回2死二塁だった。右翼ポール際を襲った打球は浜風に負けず、一直線にスタンドに飛び込んだ。渡辺元智監督(63)は「逆風で切れるかと思った私の心配を吹き飛ばす、すごいホームラン」と形容した。筒香は「少し先っぽでしたが、自分のバッティングができました」と振り返った。

 2打席凡退していた。3回に三邪飛を打ち上げると小倉清一郎部長(64)に一喝された。「いいかげんタイミングを合わせろ、4番外すぞ」。始動を早めるよう指摘された。直後に一発が出るともう止まらない。6回には満塁弾。さらに7回、流し打ちの2点二塁打まで放った。今大会これで17打数9安打14打点だ。

 当たれば打球は飛ぶ。筒香のパワーは幼時からの猛烈な食欲で備わってきた。小学校では1日5食の子供だった。朝食、学校での給食、帰って1食、晩ご飯、就寝前にもう1食だった。父和年さん(55)は「牛のように食べる子供でした」と振り返った。スイミングスクールにも通い、センスのよさから「選手コース」を勧められたが、大好きな野球を選んだ。これで高校通算33号。日本ハム中田の86本があるが、小倉部長は「超えるかもしれんなあ」とまで言う。

 日本に2軒しかないといわれる筒香の名前を、90回の歴史に刻んだ。和年さんは「兄貴の息子が今月初めに家を建てたんで3軒になりました」。次男の大暴れに笑顔でいう。筒香は「次も勝って優勝したい。本塁打?

 チームの勝ちに貢献するバッティングです」。エース松坂(レッドソックス)の横浜から10年目、新怪物が出現して記念大会制覇にあと2勝と迫った。【米谷輝昭】