<高校野球和歌山大会>◇20日◇2回戦

 古豪向陽が田辺工を11-3の7回コールドで破り、初戦を突破した。公式戦初の4番に座った主将・西岡俊揮二塁手(3年)が先制3ランを含む3安打5打点。エース藤田達也(3年)は2番手で3イニングをパーフェクトに抑えた。春夏連続甲子園へ、前身の海草中以来63年ぶり8度目の夏代表へ、スタートを切った。

 真っすぐに差し込まれながら、振り抜いた。2点リードで迎えた4回裏1死満塁。向陽西岡主将が気合で右前に2点適時打を運んだ。初回は先制3ラン。公式戦初の4番で3安打5打点の大暴れだ。それでも「僕だけやないです。みんなでうまくカバーできました」と謙虚に振り返った。

 本来の4番西山克哉一塁手(3年)が1週間前から体調不良に陥り、控えに回った。さらに3番山本隼司(3年)が3回裏、勝ち越しのホームを踏むクロスプレーで脳振とうを起こし、病院へ。主軸2人が欠ける緊急事態を、大黒柱がしっかり支えた。

 文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールに指定される和歌山屈指の進学校。11日の大会開幕後も14日までは70分授業が5限目まで詰まり、15、16日は午前が授業で午後に進路に関する3者面談。モットーの「文武両道」は厳しいが、石谷俊文監督(57)は「体調管理も実力のうちです」と言う。

 6年連続代表を狙う強豪智弁和歌山に挑む夏。「打倒智弁なんて考えていません。1戦1戦。そして、甲子園です」。主軸2人の次戦出場は今後の状況次第だが、頼れる主将はチーム一丸ムードを高め、試練の夏を乗り越えるつもりだ。【加藤裕一】