<高校野球奈良大会>◇24日◇準々決勝

 奈良大付の左腕・松田浩幸投手(3年)がまた、ドクターKぶりを見せつけた。橿原打線から14三振を奪い、1失点の4-1で完投勝ち。今夏初戦から3試合連続2ケタ奪三振、24イニングで41Kとし、同校初の甲子園まであと2勝と迫った。

 真夏の日差しが強さを増すにつれ、みるみる三振の数が増えていった。奈良大付の松田浩が、橿原打線から初回以外の毎回14奪三振。3戦連続2ケタ奪三振ショーを演じた。5安打1失点の危なげない投球で、4強進出に大きく貢献した。

 松田浩が「あまりしない」というガッツポーズを見せた三振があった。0-0で迎えた3回2死二、三塁。初のピンチだ。打席には橿原の3番下野凌一塁手(3年)。「先制点を絶対取られたくなかった。真ん中に行ってもいいやと思って投げた」。直球で相手のバットに空を切らせた。「みんながすごく『よくやった』という感じだった。良いボールが投げられ、自分にガッツポーズが出てしまった」と、照れくさそうに振り返った。

 松田浩は今大会、3試合に登板し24回投げて41奪三振。9イニングあたりの三振数を表す奪三振率は、実に15・37と驚異的だ。19日の奈良北戦で三振の山を築いた高速スライダーではなく、この試合は決め球に速球を選んだ。「橿原も研究してくると思った」と話す姿は冷静そのものだ。

 視線は次の智弁学園戦に向いている。08年の決勝で1-3で敗れ、悲願の甲子園を阻まれた相手だ。「試合をさせてもらうだけで感謝、挑戦者の気持ちです」と言いつつ「不安要素を修正しなければ」ときっちり照準を合わせて臨む。甲子園まであと2勝。帽子のつばに「集大成」と書いてくれたメンバー外の部員の気持ちに応えるためにも、絶対に負けられない。【加藤仁】