<高校野球兵庫大会>◇26日◇準々決勝

 報徳学園のスーパー1年生右腕・田村伊知郎が準々決勝の市神港戦で6回をパーフェクトに抑え、チームを8-1、8回コールド勝ちに導いた。背番号18をつけ、元巨人・桑田真澄氏ばりのフォームから自己タイの最速139キロをマーク。スライダーとのコンビネーションで4奪三振、打者18人を手玉に取った。「大事に使いたい」という永田裕治監督(47)の判断で、完全投球のまま降板したが「ホッとした気持ちもあった」と笑っていた。

 神戸市立山田中では週2度、進学塾に通い、県下屈指の進学校・兵庫に入る学力があった。「最初は一般的に勉強だけを考えて兵庫に行こうと思った。でも『本当にそれで満足できるのか』と考えた時、今やりたいのはやっぱり野球だと思って…」。

 昨年10月に報徳学園の練習を見学。厳しいメニュー、スパイクが整然と並べられている光景に「自分がしたかった野球がある」と決断した。

 中学教諭の父篤史さん(42)が1年1組の担任時、午前11時1分に生まれた。「一郎にしたかったが、字画を考えて」(篤史さん)「伊知郎」になった。今夏は先発3試合で16イニングを投げ、被安打4の1失点。安定感抜群の「イチ尽くしの15歳」が甲子園まであと2勝に迫った。【加藤裕一】