<高校野球三重大会>◇28日◇決勝

 いなべ総合学園が6-3で白子を破り、甲子園初出場を決めた。

 「よっしゃー!」。最後の打者を三振に打ち取り岡部直人投手(2年)が雄たけびをあげた。夢舞台への初出場を決めたいなべ総合学園ナインの歓喜がマウンド上で爆発した。

 序盤から激しい打ち合いとなる苦しい試合だった。ナインが喜ぶ光景を見ながら四日市工時代、春夏甲子園を6度経験している名将・尾崎英也監督(51)は「うん、うん」とうなずき、就任5年目の悲願達成にナインの前で初めて泣いた。第1シードは甲子園には行けないというジンクスが三重大会にはある。そのプレッシャーと連日の激闘で尾崎監督は前日の菰野戦後に軽い熱中症の症状が出て、この日の朝には点滴を打って臨んでいた。

 前夜には、四日市工で甲子園初出場時(91年)のエースだった井手元健一朗さん(元中日=37)から「2年生の連投はきついですから、先発は3年生がいいですよ」と電話をもらっていた。その助言を参考に近藤佳史投手(3年)を先発に送り込み、4回からは岡部に託した。「予想より早い出番でしたけど、いつでも来いと思ってました」と岡部は右翼を守りながら気持ちの準備をしていた。代わった直後には1点を失ったが、5回以降はピシャリと抑え監督の期待に応えた。

 尾崎監督を慕って入学してきた4番中園洋輔捕手(3年)らを中心にすえてつかんだ甲子園。監督の目標は四日市工時代を上回る「甲子園2勝」だが、ナインは深紅の大旗を目指している。【坂祐三】