巨人の1番、坂本勇人内野手(29)が打線に火を付けた。3回1死、ヤクルト原から右越えに先制ソロを放つと、4回1死一、二塁でも適時打を放つなど3打点の活躍。鹿児島での打率3割8分9厘を誇るリードオフマンが、12得点の大勝に導いた。今季7度目の2桁得点としたチームは、リーグ最多193得点。強力打線を武器に、首位広島とのゲーム差を2・5に縮め、奪回の時をうかがう。

 引っ張らず、逆方向へかっ飛ばした。3回1死、坂本勇が大量得点の口火を切った。ヤクルト原の134キロスライダーを強振。右翼の芝生席で跳ねる打球を横目に淡々とダイヤモンドを1周した。8戦ぶりの4号ソロに「変化球だったけど、自分のいいポイントで打てて、思ったより飛んでくれた」とうなずいた。

 1番打者として文字通り背中で打線を引っ張る。今季は4月12日以降、27試合で1番に座り「走者がいなければとにかく出塁すること」と両リーグ最多の55安打に、打率3割5分9厘と出塁率4割4分はチームトップ。3点リードの4回1死一、二塁では左前適時打を放ち、一挙7得点のビッグイニングにつなげた。この日、3打点でチーム最多の27打点に到達。「良い流れでつないでくれて、イケイケムードになった」とチャンスメークしてくれた仲間に感謝した。

 グラウンド外でも背中で引っ張ってきた。春季キャンプ前の1月。吉川尚、辻を引き連れて沖縄県内で自主トレを敢行。「細かい技術は口では教えられない。背中とか姿を見てほしい」。寝食をともにし、考え方やプロとしての生きざまを日常の中で示した。主将として先頭に立って若手の手本になろうとした。

 高橋監督も「すべてにおいてチームを引っ張ってくれている。坂本の前にチャンスができているのも事実。彼の確実性もある」と評価。走者がたまればクリーンアップの一角を担う“3番打者”としての働きもできる。「それだけの経験も積んできた」と坂本勇。最も優れた打者が巨人の1番打者として打線を力強くけん引している。【島根純】