少しずつ、着実に前進している。阪神藤谷がみやざきフェニックス・リーグのヤクルト戦(西都)に9番三塁でフル出場。8月末に野手に転向してから初のマルチ安打をマークした。

4点を追う5回1死二塁、山中の内角球にバットを折られながらも左前打で好機を拡大。7回には1ボールからの2球目、ウルキデスの141キロを捉え、鋭く三遊間を破った。

覚悟の転向から1カ月。打撃開花へ懸命な22歳に、矢野2軍監督も熱血指導でサポートする。「人より遅れてるから、追いつき追い越すのは生半可なものじゃない。オレが気付いたことは伝えていく」。前日9日の試合後には指揮官がタブレットで動画を撮影しながら打撃指導を行った。藤谷は「(指導内容は)左足を開かずに打つということです。こんな感じで打てばいいというのが改めて分かった」。早速、2安打で応えた。

矢野2軍監督は「あいつはまだ基準も低い」と前置きしながらも「初球から振っていくとか、やれることをしっかりやれている」と積極姿勢に目を細める。フェニックス・リーグでのテーマは「とにかく振って覚えていくことです」と言い切る藤谷。来季は育成契約から1軍舞台を目指す。宮崎で必死に汗を流し、飛躍の土台を築く。【吉見元太】