広島は、昨年の日本一軍団と互角に渡り合った。ブルペン7人を投入。残っていたのはロング救援要員の中村祐だけだった。まさに総力リレー。試合後の緒方監督は勝ちきれなかったことより、真っ先に投手の粘りを称賛した。

「投手陣が頑張ってくれたね。(大瀬良)大地もプレッシャーがかかる中、しっかりいい投球をしてくれた」。昨年までの日本シリーズ延長15回制が、今年から12回制に変更された。可能性の高まった引き分けという結果が、さっそく表れた。

大瀬良が5回2失点と役割を果たし、ベンチは6回から継投に入った。中継ぎに回した岡田が6回を踏ん張り、セットアッパーのフランスアは8回から2イニングを抑えた。延長11回はジャクソン、ヘルウェグの助っ人2人でピンチをしのいだ。12回はシーズン防御率13点台の中田が2四球を許しながらもしのいだ。

打線は1回に菊池のソロ本塁打と松山の適時打で好投手の千賀から2点を先制。指揮官は「最初はこちらのペースで試合ができた。そのあともう1点というところ。自分の中で考えながら、明日のゲームに生かせたら」と話した。ソフトバンクのリリーフ6人から得点を奪えなかったが、4番の鈴木は「ほとんどの投手を見られた。それは収穫」と前を向いた。

今季限りで現役引退する新井も12回1死一塁から代打で登場。大歓声の中でボテボテの投ゴロに終わったが、進塁打という最低限の仕事はこなした。「緊迫した初戦だった。その中でみんなしっかり動けていた。(引き分けを)前向きにとらえて、明日に向けて準備したい」。鈴木も「4番が打たないと。僕が打てば結果はついてくる」と意気込んだ。初顔合わせの今シリーズ。早くも歴史的な熱戦の予感が漂ってきた。【大池和幸】