広島は延長10回サヨナラ負けで、がけっぷちに追い込まれた。ホームで引き分け、白星と好スタートを切りながら、3連敗。前回16年の日本シリーズ(対日本ハム)に続いて敵地で3戦全敗を喫し、セ・リーグのチームはパ・リーグ本拠地で15連敗となった。緒方孝市監督(49)は5回途中で継投策へ。執念は実らなかったが、本拠地マツダスタジアムで逆襲を狙う。

セ・リーグ王者は死力を尽くして敗れ、崖っぷちに立たされた。早めの継投を仕掛け、終盤は必死に得点圏に進めたが勝ち越しを阻まれた。緒方監督は敗戦直後、淡々と口を開いた。

「選手はしっかりプレーしてくれているから。また明日、しっかりコンディションを整えて、広島に戻ってやるだけ」。勝てば五分で広島に戻るはずが、一気に苦しくなった。

執念の前がかり継投も実らなかった。5回に丸の逆転2ランが出ると、その裏のピンチで先発大瀬良からヘルウェグにスイッチ。追いつかれて会沢のソロで再び1点リードに変わった6回は一岡を送り出した。

さらに2死二塁のピンチで、本来なら7回か8回を投げるセットアッパーのフランスアを投入した。7回に明石に同点ソロを許しても、全幅の信頼を置く左腕には続投指示。9回1死まで投げた。2回2/3は7月の勝ちパターン定着後、最長イニングだった。

最後は延長10回、中崎が柳田にサヨナラ弾を浴びた。「甘かった。ど真ん中でした。次、頑張ります」と甘く入ったスライダーを悔やんだ。どちらに転んでもおかしくない試合。畝投手コーチは「手は尽くした」と守護神を責めなかった。

依然として盗塁ゼロと足技を封じられたまま。それでも不振の丸に1発が出て、打線下位で会沢も相手にプレッシャーを与えている。4番鈴木は日本シリーズタイ記録となる4打席連続四球で、懸命につないだ。試合後は「勝つしかないので、頑張ります」とポツリ。もちろん誰も34年ぶり日本一をあきらめていない。背中を押してくれるホームの観客の前で、勝利を続けるしかない。【大池和幸】