阪神は17日、中日を自由契約になった13勝左腕、オネルキ・ガルシア投手(29)と契約したと発表した。1年契約で年俸1億6500万円。ガルシア側から逆オファーを受けると真っ先に交渉の席に着き、電光石火で獲得に成功した。この日、都内で行われたイベントに出演した鳥谷敬内野手(37)も「いい投手。心強い」と加入を大歓迎。FAで獲得した西勇輝投手(28)に続き、矢野阪神が先発2枚看板を補強して最下位から逆襲を期す。

年の瀬の虎党に朗報が舞い込んできた。「阪神ガルシア誕生」が正式に決まった。補強のかじ取り役を担う谷本球団副社長兼球団本部長は「球界全体を見渡しても、今年の成績で言えば左腕では、かなり上位に入る部類になると思う」と最高級の評価を口にした。

今季は中日で来日1年目から13勝を挙げるなど日本野球に順応した。阪神も3勝を献上。150キロを超える球威と動く球筋に手を焼いて苦戦を繰り返した。谷本副社長は「それは忘れました。すごいいい投球されたとき、ありましたね」と笑顔だ。トラウマはキレイさっぱり忘れていい。「好投手」の印象が強烈で、中日を想定外の自由契約になると本格調査。谷本副社長は交渉の実情を明かした。

「なかなか代わる候補がいないなかで、よく来てくれたと思う。正直に申し上げると、今回は向こうの代理人からオファーというかコンタクトがあって、こちらが『いの一番』に食いついた。そのなかでも他球団からの問い合わせ、コンタクトがあったと思う。渉外担当がよく頑張ってくれた」

まさにスピード交渉で剛腕を釣り上げた。ガルシアの心は虎の一員だ。球団を通じてコメントも寄せた。

「阪神タイガースへの入団が決まり、非常にうれしく思います。甲子園の大観衆の前での登板を楽しみにしています。オフシーズンにしっかりと準備をしてチームの勝利に貢献できるようにベストを尽くしたい」

今季、リーグ3連覇の広島に4戦で3勝1敗、防御率2・88で、大補強に成功した巨人にも4戦で3勝1敗の防御率1・80と「強敵キラー」だ。谷本副社長も「そこも大きい」とうなずき「データで見ると基本、あまり大きいのを打たれない。ゴロを打たせる投手。守備陣の強化とあわせていけばいい投球ができる」と続ける。来年2月のキャンプ初日から合流する。オリックスからFAで今季10勝の西も加入し、2桁勝利投手のW獲りに成功。先発陣は“最強布陣”の完成だ。(金額は推定)

◆オネルキ・ガルシア 1989年8月2日、キューバ生まれ。10年に米国亡命。12年にドジャースからドラフト3巡目で指名され契約。13年メジャーデビュー。今季は中日に在籍。チームでは唯一規定投球回に到達し、リーグ3位の13勝をマークした。190センチ、104キロ。左投げ左打ち。今季年俸は5000万円。