楽天の新人全10選手が15日、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城・名取市の閖上小中学校を訪問した。

同震災では名取市で911人、うち閖上地区で750人が犠牲となり、現在も41人が行方不明となっている。八森伸校長(56)から当時の様子や復興状況について説明を受けた選手たちは、亡くなった閖上中(昨年4月に小中統合)の生徒14人の名が刻まれた慰霊碑に献花し手を合わせた。

新人で唯一東北育ちのドラフト5位佐藤智輝投手(18=山形中央)は「被災した人の気持ちは自分が一番分かっているつもり。苦しい思いをした人たちのことを忘れてはいけない」と話した。当時、山形・寒河江市立南部小5年で、震災翌日に楽天西巻賢二(19)が所属する福島・小名浜のチームと試合を行う予定だった。小名浜が被災したため延期。後日励ましのメッセージを色紙に書いて渡した。「もし11日に試合だったら、自分もどうなっていたか」。決して人ごとでは済ませられなかった。

閖上中で亡くなった生徒の中には野球部のエースもいた。「野球ができる喜びをかみしてやりたい。13年の日本一は、涙が出るくらい感動した。今度は自分が東北のみなさんに元気が出る優勝を届けたい。1球1球、魂を込めて投げたい」と強い思いを胸に活躍を約束した。【野上伸悟】