ゆったりしたフォームから繰り出される糸を引いたような球筋は、かつての11番をほうふつさせた。西武今井達也投手(20)が13日、ブルペンで59球の投げ込み。武骨とは真反対のスマートなたたずまい通り、変化球を交えながらしなやかに投げた。「打者が立つとどうしても力んでしまう。いつもより真っすぐに力があった。今日みたいなブルペンを続けていきたい」と手応えをつかんだ。

西武の「11」を背負った岸に倣う。「晩ご飯を食べた後、時間があるときに岸さんや西口さん、渡辺久信さんの動画を見ています」。西武に流れる本格派右腕の系譜でも、身長が同じ180センチ、背番号を受け継いだ岸のフォームに着目した。「横の長さと球筋を見てます。左足を上げてから地面に着くまでの、横の長さ」と具体的に言った。

横の長さと表現した時間が、長ければ長いほど理想に近づく。「右足に力をためられるというのもありますし、早いと体の開きも早くなる。たとえ150キロの球を投げても打者は速く感じない」。リリースポイントで最大出力を発揮するためのお手本として、自分自身と照らし合わせる。小野投手コーチは「岸より球筋は数段よくなる。若い頃に見ていたけど、今井は岸より上。まだまだこんなもんじゃない」。昨季は5勝の今井は「素晴らしい番号を頂いている。結果で期待に応えないといけない」。岸化が進めば、2桁勝利も見えてくる。【栗田成芳】

▽西武西口投手コーチ(今井に)「力感なくやることが大事。まだ無駄な力を入れるとロスする部分がある。バネはあるし身体能力もある。やってもらわないと困るピッチャー」