6年目の楽天今野龍太投手(24)がプロ初勝利を挙げた。3点ビハインドの6回、2番手で登板し2回を無安打無失点と好投。8回の味方打線の逆転を呼び込んだ。

   ◇   ◇   ◇

今野は小学2年の時、父義明さんが監督を務める岩出山フェニックスで野球を始めた。宮城・岩出山高入学時の直球は125キロ程度。卒業後は就職を考えていた。2年春からエースも、部員が集まらない。秋季大会は1度も出場していない。3年春は大雨の中、4人の仲間と勧誘ビラを配った。11人で臨んだ夏は大会初戦でノーヒットノーランを達成。「面白いな。ええやないか」。13年ドラフト前日、映像を見た星野監督のひと声で9位指名された。

育成を除く全指名選手76人中の最下位。2軍で最速153キロを計測するまでに成長し1年目から1軍を経験したが、15年10月に右膝外側半月板を縫合手術。育成契約になった。「支配下になる。それだけを目標にやっていた」と振り返りつつ「(1軍で勝つ自分を)想像できなかった」とも話す。17年4月に再度支配下登録を勝ち取ると、同年6月には高校の同級生だった聖加(きよか)さんと結婚。初恋の人だった。「鶏肉と大根の煮物がおいしいんです」。感謝は尽きない。

コンパクトなフォームから打者を差し込む直球を生かすカーブに磨きをかけ、ロッテ打線を6回から2回無安打1死球に封じて無失点。3回無失点でサヨナラを呼び込んだ15日の日本ハム戦に続き、逆転につなげた。「岩出山の星」と呼ばれ「このまま終わってはいけない。みんなのために頑張らないと」と歯を食いしばってきた。ウイニングボールは同期の松井から手渡された。「頑張っていれば、いいことがある」。実直に歩んできた、今野のプロ初勝利だ。【亀山泰宏】