「恋」と書いて「れん」と読む。名前の由来は「みんなから好かれるように」。両親の願いが込められている。

巨人から楽天にトレード移籍する和田恋外野手(23)は、周囲から「れんちゃん」と親しみを込めて呼ばれていた。私も初対面から「れんくん」と呼んでしまったが「昔から下の名前で呼ばれることが多いので、大丈夫ですよ」と温かい笑顔で返してくれた。

自他ともに認めるマイペースな性格。ただ、グラウンドという“戦場”では全てがよしとされないこともある。昨年11月のMLB選抜戦。スタメンに抜てきされたが、第1打席で低めのボール球の変化球に空振りし、3球三振に倒れた。ベンチに帰ると原監督から「恋ちゃんの人間性は好きだ。でも今日の1打席目は好きじゃないな」と指摘され、2打席目は代打を送られた。

この日のように、簡単に空振りをしてしまっているように見える三振が2軍戦でも時々見られた。「昔から言われます。やる気がないんじゃないかって。難しいですけど、僕としては『打ちたい』っていう気持ちが強すぎて頭の中が整理できていないんだと思います」。周囲の見え方とのギャップに悩みながらも、積極性の裏返しだと冷静に自己分析していた。

心の炎は人一番熱い。2軍戦終了後のジャイアンツ球場の室内練習場の片隅で、マシンを相手に汗びっしょりになるまで打ち込んでいた。「打てないんで僕。練習するしかないんで」。自主トレをともにしている1歳年下の岡本には打撃技術、感覚などを聞いて学んだ。「やっぱり気になりますよ。負けたくないですけど(岡本)和真はすごいので僕も早く1軍で活躍したいです」。プライドを見え隠れさせながら、がむしゃらにバットを振り込んだ。

理想のバッターはヤンキースの主砲ジャッジとスタントン。「みんながほれぼれとするような滞空時間の長い打球に憧れます。いつかあんなホームランを打ってみたいですね」。6年間在籍した巨人では花を開かせることはできなかった。杜(もり)の都で巡ってきたチャンスをつかみ、1軍の舞台でファンをとりこにさせるような1発を見せてほしい。【巨人担当=桑原幹久】