阪神が押し出し四球によるサヨナラ負けで5連敗を喫し、自力優勝の可能性が消滅した。中日松坂大輔投手(38)から3回までに2点を挙げたが、4回以降はノーヒットと打線が沈黙。貧打に、拙守という今季を象徴する敗戦となった。まだAクラスは維持しているが、昨年最下位からのチーム再建の道のりは険しい。

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「惜敗」ばかりだからもどかしい。今季の苦戦を象徴する競り負けだった。5連敗。首位巨人が勝ったため、数字上は上回れず、自力優勝の可能性が消滅してしまった。それでも、矢野監督は「俺らじゃなくマスコミの皆さんが言うこと。そこ(巨人)を考えて毎日プレーするより俺らがどうすれば成長できるか考えてプレーする方がチームのためになる」と前を向いた。

土壇場の9回。小野のサヨナラ押し出し四球で敗れて中日戦6連敗となったがミスが重なった。1死一塁で平田の飛球は右中間最深部へ。中堅近本が落下点に入ったが、グラブをかすめて捕れない。二、三塁のピンチを招いてしまった。指揮官は「チカのも最後、安打になっているけど追いついている。簡単とは言わんけど、ああいうのを捕ってあげてほしい。俺はとれると思った」と嘆いた。痛恨のプレーになり、近本も、うつむいてバスに消えた。

負けるべくして負けた。直前の9回1死一塁。バントがうまい梅野に犠打のサインを出したが捕邪飛…。自ら勝機を逃して、流れを手放してしまった。指揮官は「競って負けている。本当に、あと1本とか。もちろんリュウ(梅野)の送るところを送れないとか。小さいことをミスをしたり(点を)取れるところで取れてないと、こういう展開になる」と厳しく断じた。

昨季1勝3敗と苦戦した中日松坂を打ちあぐねたのも敗因だ。塁上をにぎわしても決定打が出ない。今年何度も見た拙攻をまたも繰り返した。くしくも昨年と同じ展開だった。8月1日に敵地で松坂を打てずシーズン初めて自力優勝の可能性がなくなった。今年はさらに上回る7月16日のスピード消滅。3位タイに落ち、5位広島が0・5ゲーム差に迫る。巨人とは11・5差に開き、指揮官は危機感を募らせた。

「それを考える余裕はないわ、そんなん。自分らのチームをどうするか。そんな上のことをどうこう言っているアレじゃない」

12球団最強の投手陣を誇るだけに、貧打や最多72失策、走塁ミスが際立つ。接戦を拾うスタイルだ。殻を破らないと、上位は見えてこない。【酒井俊作】

▼阪神が中日に敗れ、巨人がヤクルトに勝ったため、阪神の自力優勝が消滅した。巨人は阪神との直接対決12試合に全敗しても、それ以外の49試合に全勝すれば最終成績が99勝43敗1分けの勝率6割9分7厘。阪神が残り57試合を全勝しても、96勝43敗4分けの勝率6割9分1厘で上回れないため。今季チーム86試合目で、昨季の87試合目より1試合早い。