阪神は今季限りでの退団を表明している鳥谷敬内野手(38)の「セレモニー」を検討していることが17日、分かった。9月30日中日戦(甲子園)の今季最終戦での開催を想定して準備に入る。鳥谷は現役続行の意思を固め、阪神のユニホームを着るのは最後。95年、現役続行を希望してシーズン後に引退表明した真弓明信の最終戦も参考にして、花道を用意するつもりだ。

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阪神は球団最多の2084安打を積み上げた鉄人の去り際に花を添える。9月30日中日戦のシーズン最終戦は今季限りでの退団を表明している鳥谷の「タテジマラストゲーム」になるのが濃厚だ。16年間にわたってチームを支えた名選手とファンの惜別の日。球団も最大限の敬意を払って「セレモニー」の準備に入る。

鳥谷は8月29日に球団から事実上の戦力外通告を受け、同31日に自ら今季で退団する意思を明かした。他球団での現役続行か、現役引退か。熟考の末に、現役続行の意思を固めた。球団はファンに愛された功労者の節目を重んじる考えで、プランを進めていく。球団幹部は「映像の準備をするようには言ってあります。準備は進めています」と明かした。

試合当日は月曜日だが、13日のチケット発売開始と同時に虎党が殺到。早くもライト外野指定席など多くの席種が売り切れ、残席数もわずか。超満員が予想され、とてつもない盛り上がりになりそうだ。アンコールは鳴りやまないだろう。球団幹部も「自然と、そういう形になるかもしれないですよね」とうなずいた。ファンの気持ちにも寄り添うつもりだ。

鳥谷自身の意向次第だが、惜別の舞台を整える準備がある。モデルケースがある。球団幹部は「真弓さんは場内1周しているんですよね。そういう形になりましたね」と思い起こす。95年、チーム構想から外れたベテラン真弓は現役続行を希望。そのため、10月6日横浜戦(甲子園)で華々しい引退式を行わなかった。それでも惜別ムード一色。試合後に家族から花束を贈られ、ナインに胴上げされ、場内を1周。球団が感動の舞台を作っていた。

今年3月にはマリナーズ・イチローが東京ドームで現役引退した。ファンのスタンディングオベーションに応える形で試合後、球場に姿を見せて場内1周。鳥谷の場合も真弓氏の例を参考にすることになる。別れのときは、刻一刻と迫る。15日巨人戦(東京ドーム)は、代打で2点適時打を放つなど健在だ。タテジマでの最後の勇姿を-。感謝を込めた花道を用意する。