【ホノルル(米ハワイ)11日(日本時間12日)=為田聡史】巨人原辰徳監督(61)が“ジャイアンツ・ファミリー”一丸での「金の卵発掘」構想を掲げた。日本各地の歴代OBをスカウトとして情報提供を仰ぎ、若き才能の芽をいち早く把握するプランで来季開幕までの実現を目指している。20年東京五輪の聖火リレーでは東京・目黒区のランナーの最有力候補に挙がる。日本全国をつなぐ聖火リレーのごとく、日本中に情報網を張り巡らせ、未来に続くチーム強化へとつなげる。

   ◇   ◇   ◇

途絶えることなく、つなぎ続けてきた伝統を戦力強化へ結びつける。原監督が、長期的な強化プランとして球団OBの存在に注視した。「アマチュア野球にすごく精通し、協力している人がいますので、そういう人を募って立候補してもらって。そこから何人かと思っていますよ」と球団OBとの情報網構築に目を付けた。全国の野球少年の中から金の卵を発掘するシステムを構築する。

地元密着のメリットにプロの千里眼が加わったネットワークで、精度の高いスカウティングが期待できる。「今は非常に情報化社会。スカウトの数を多くすることがネットワークを広げられる材料なのか。こういう方法があると思って提案した」と明かした。巨人は3軍制を敷き、育成選手獲得にも積極的。「(育成出身のソフトバンク)千賀君だってそう。愛知県のね、スポーツ店に知り合いがいて『すごいんだよ、じゃあ取る』」と、情報網を拡大した際の成功例を挙げた。

同時に野球振興にも相乗効果が生まれる。地域でのスカウト活動を依頼するOBには巨人の肩書が明記された名刺も配布。「OBの方たちもうれしい。広い意味で言うと野球界にとってもいい。小学校の時から見られるからね。地元に密着したOBの方たちは極端な話、生まれた時から知ってる。生い立ちも含めてね」と“野球の輪”を全国に拡大させることもできる。

すでに今村社長、大塚球団副代表とも共有し、球団は来年開幕までの実現を目指して各都道府県に在住するOBのリストアップ作業を進めている。「副代表の管轄の中ですから、僕がなかなか管轄に入っていないんだけどね。OB会の方から選ばれる形になると思う。面談をしてということでしょう。お互いがということ」と説明。北海道から沖縄まで全都道府県をつなぐ五輪聖火リレーのごとく、OBによる“巨人リレー”で金の卵を掘り出す。