【ホノルル(米ハワイ州)16日(日本時間17日)=山本大地】ソフトバンクの日本一旅行は5日目を迎え、日本への帰国日を残すのみとなった。ルーキー甲斐野央投手(23)は両親、2人の兄とその家族総勢7人が同行。ハワイではテレビ収録などに引っ張りだこで多忙だったが、合間を見つけては家族孝行に努めた。特に、兄2人とは仲が良く多くの時間でともに行動。「東京オリンピック(五輪)出場」を願う兄たちの思いも背負い、来季2年目のマウンドに立つ。

美しい兄弟愛だ。長兄の祐大さん(32)はシーズン中はもちろん、甲斐野が出場したプレミア12の日本でのスーパーラウンドも全試合現地で観戦した。「誇らしい。初めて好きなプロ野球選手ができた」と笑う。次兄の耕一さん(29)も1試合観戦。「抑えているのを見て、泣きましたね」と涙を流しながらスマホで動画撮影したという。ハワイでも仲良しぶりは特別で、ワイキキビーチでは3人で夢中になりカニ取りに挑んだ。周東も加わったあとは、本気のビーチフラッグス対決などで盛り上がった。

耕一さんは甲斐野に「五輪に出てくれ」とことあるごとに伝えている。昨年ドラフト1位で入団し、背番号が20に決まったときから「いい番号やないか。2020の五輪に出ろということやな」と冗談交じりに話していた。

甲斐野自身も、兄たちの思いを受け止めている。「五輪は枠が減るので、出るのは厳しいけど、選ばれたらもちろんうれしい」。その上で、しっかりと地に足をつけている。「五輪に出るために頑張るというより、まずはホークスの勝利に貢献することが大事」。その結果が侍への近道でもある。「また来年も、家族みんなに喜んでもらえるように」。決意を新たにした南の島での5日間だった。