ロッテ涌井秀章投手(33)が、金銭トレードで楽天へ移籍することが19日、両球団から発表された。背番号は「16」で23日に入団会見を行う。また、国内フリーエージェント(FA)権を行使して楽天からロッテへ移籍した美馬学投手(33)と、同じくロッテから楽天へ移籍した鈴木大地内野手(30)の人的補償として、楽天からは小野郁投手(23)、ロッテからは酒居知史投手(26)が指名され、ともに移籍が決まった。選手が激しく行き交った今オフの両球団。深謀を探る。

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今オフ、現時点で6選手を獲得したロッテ。補強ポイントは明白だった。野手2、投手4と投手が多数。中でも美馬以外はみな中継ぎだ。

救援陣の防御率は、リーグ4位の3・68と極端に悪くないが、守護神益田以外の「勝利の方程式」を固定できず、Aクラス争いのしのぎ合いに屈した。イニング別失点は、8回が87点で最多。一方で最少は9回の40点。数字は雄弁に語る。

松本球団本部長は「今年は7回、8回の失点が多かった。補強は外国人の実績のある投手が取れた」と日本通算92ホールドの元広島ジャクソン、同じく19セーブ、66ホールドの元楽天ハーマンを獲得した。「今年1年戦って、何が足りないかを分析してやっている。優勝争いをするんだという強い気持ちを僕らは持っている」と力が入った。

ジャクソン、ハーマンと二枚腰の補強を行うことで、FAの人的補償では23歳の小野を選ぶことができた。ファームでは無双のクローザーで、伸びしろは十分。チームには今、若手が台頭する土壌があり、大きく開花し勝ちゲーム終盤の一角を担う可能性を秘めている。

幕張のエースを張ってきた涌井は「チームは変わりますが、ロッテファンの皆様にはどんな時も応援をしていただき選手として本当に心強かったですし、その声援はボクの宝物で感謝の気持ちしかありません」と旅立った。大命題のブルペン整備を第一義に、血の入れ替えも行う。ロッテがストーブリーグの主役を張った。【久永壮真】