広島鈴木誠也外野手(25)は黒田魂と新井魂を胸に刻んで今季に臨む。6日から始めた宮崎・串間市での合同自主トレを公開。ソフトバンク内川との合同トレを卒業し、野間ら広島4選手を引き連れて独り立ちした。

チーム内での立場も変わり、今や後輩、先輩関係なく助言を求められる。主力としての自覚は強い。「(若手には)言った方がいいかなという時は言います。でもプレーや練習でしっかりしていれば、やってくれると思う。僕は黒田さん、新井さんの姿を見てやれた」。3連覇の礎を築いた先輩のように背中でも引っ張る覚悟を示した。

チームの再浮上には選手の意識改革が欠かせない。「優勝している時は自分のことを考える選手が少なかった。レギュラーの選手が自分のことを考えていたら正直厳しい」。主力だけではない。突き上げが弱い若手にはハッパを掛けた。「僕は3年目にレギュラーを取らないとクビになると思っていた。1年目からレギュラーを取るつもりだった。今の子たちは遅い。ゆっくりやっているように見える。そんなことをやっていると消えてしまうよと伝えたい。そんな甘い世界じゃない」。練習中は笑顔が目立った主砲の表情が厳しくなった。

昨季は首位打者と最高出塁率。侍ジャパンでも中心打者となった今も「常に危機感を持っている。若手、ベテランよりも練習、意識を高く持っていないと抜かされてしまう」と言い切る。だからこそ向上心は尽きず、目標も高い。「全ての面でレベルアップしたい」。もちろんバットでも、チームを引っ張っていく。【前原淳】

○…昨年8月に鈴木誠と結婚した愛理夫人が自主トレ地を訪れ、練習姿を見守った。新体操日本代表としてオリンピック(五輪)に2度出場した元アスリートで、NHKのスポーツニュースなどに出演しているだけに、まなざしは真剣そのものだった。