ソフトバンク工藤公康監督（56）が、被災地へ“完全日本一”での恩返しを誓った。

25日、16年の地震で被災した熊本を訪れ野球教室を開催。午前に菊池市、午後に山鹿市で小中学生の少年野球2チームずつ、合計約120人と触れ合った。熊本での野球教室を始めて3年連続日本一。あらためて今年のリーグV奪回＆日本一への思いを強くした。

　　　◇　　　◇　　　◇

熊本地震で被災した翌17年から4年連続4回目となる被災地訪問。野球教室で時を忘れるほど、熱心に野球部員への指導を行った。そこには年々、熱くなる思いがある。

工藤監督　まだ復興半ばだし、自分がやれることをやりたいと思う。野球を通して子供らに頑張ってもらおうと思うし、何より（震災を）風化させないためにも、この野球教室を続けることが大事だと思う。

午前中の菊池市では、被害が大きかった益城町出身が多いチームを含め、2チーム全選手と「1球対決」も行った。「股関節が痛くなった。最初は良かったけど、最後はバテたね」と苦笑いしたが100球を超える投球で子どもたちと「会話」した喜びを感じていた。「昨年も多くのファンの声援で日本一になれたと思っている。その恩返しの意味を込めて教室をやっている面もある」とファンの大切さを力説した。

17年から始めた熊本での野球教室。今年で4年目だが、過去3回はすべて日本一になった。「野球教室はこれで今年は終わり。自分もしっかりキャンプに向けて準備をしないといけないと思うし、今年こそはリーグ優勝しての4年連続日本一という思いはある」。被災地の子供らへ「励まし」と「恩返し」の“完全日本一”を誓った。

前日24日には九州北部豪雨被害を受けた大分県日田市の小学校を訪問した。「今でも雨が降ると涙を流す子どもがいると聞いた」と心を痛めた。

工藤監督　心の傷はまだまだ癒えていない。短い時間だが、野球教室で対決した思い出が残ってくれればと思うし、本当に笑顔が戻るまでやり続けたい。

まだまだ熊本地震や九州北部豪雨の被災地は完全復活していない。九州プロ野球チームの監督として、野球を通じた復興支援のハートは消さない。【浦田由紀夫】