#プロ野球選手1年生のきみへ-。西武の育成アマチュア担当スカウトからルーキーへ送る手紙企画の最終回は、関東地区担当の竹下潤スカウトからドラフト1位宮川哲投手(24=東芝)へ。

春季キャンプ中に右太もも痛で出遅れたものの、自主練習期間を使って着実に前進する右腕。同スカウトは独自に性格分析をした上で、投球だけでなくリーダーシップを期待した。

哲へ

大会で先発している姿を見て、哲がどんな練習をするタイプか、どんな性格なのか知りたくなってグラウンドに行ったのを覚えています。哲は先発で完投できる能力があるし、ボールに力があって、変化球の精度が高く、短いイニングでも爆発的な力を発揮できる。そう思うから、哲にはライオンズの先発陣の中に割って入って、その一角を担うピッチャーになってほしい。

昨年のドラフト会議の時、哲の指名がジャイアンツと重複した時に「なんとか引き当ててくれ」と、俺たちスカウトが待機する控室の中でじっとテレビを見つめていたのが懐かしいよね。だからこそ、辻監督が引き当てた瞬間は本当にうれしかったなあ。

一見話しかけづらそうなところがあるけれど、芯は通っているし、動じない。人懐っこくて天然で、そんな好かれるタイプの哲をあんまり心配してはいないけど、この機会だ。伝えたいことがある。

今だからできること、それをしっかり考えてほしい。練習はもちろんだが、寮の中でも哲は年上の方だ。高卒やそれに近いルーキーたちは、今、不安を抱えていることも多いだろう。高校から社会人まで厳しい環境を過ごしてきた哲は、彼らと同じルーキーではない。長い寮生活で時間の使い方もわかっているはず。ちょっとだけ“大人”の哲が、そんな彼らの不安を取り除いてやってくれよな。

少し出遅れたけど、開幕に間に合うことができてホッとしているよ。地元の両親のためにも、育ててくれた母校や監督さんのためにも、ライオンズの希望の光である哲には、世の中をパッと明るくするような、そんな豪快なピッチャーになってほしいんだ。

埼玉西武ライオンズ育成アマチュア担当・竹下潤