#開幕を待つファンへ-。楽天が26日、今月8日から行われている本拠地楽天生命パークでの練習を報道陣に公開した。内野スタンドに開放区域を制限し、新型コロナウイルス感染防止への対策を十分にとった中での公開。チームの活動休止前日の3月29日以来、58日ぶりの球場に「潜入」した。

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久々の感覚だった。午前9時すぎ。約2カ月ぶりに楽天生命パーク内に足を踏み入れた。目に飛び込んだのは整えられた天然芝。土のにおいも鼻に残る。ほどなくして、ユニホーム姿の選手たちが姿を現す。シートノック、投内連係では「ヘイ!」「よっしゃ!」との声。打撃練習ではJ-POP、洋楽などのBGMの隙間から快音が抜ける。目、耳、鼻から「野球」を感じられた。

普段通り、ではもちろんない。報道陣はマスクを着用し球場入り口で検温、消毒。三塁側ベンチ上の防球ネットから1ブロックを空けた部分が報道陣エリアで、選手らとは別ルートでスタンドへ向かう。背もたれにテープが張られた席にのみ座ることができ、ソーシャルディスタンスを十分にとっている。首脳陣、選手らへの取材はこれまで通りオンライン取材のままだ。

練習後、パソコン越しの三木監督の言葉が印象に残った。「例年通り開幕へ準備をしても何かしら難しさは常にある。僕たちも選手たちも逃げたり言い訳をしたりせず、目指すところができた今の状況を受け止めて、感謝しながらチームとしていろんな方向に向かっていく。前へ向いてやっていくことがすごく大事」。現状でベストを尽くす。捉え方ひとつで日常への向き合い方も変わってくる。

約3時間半の練習取材を終え、自転車で約15分かけて帰宅。汗ばんだシャツを脱ぎシャワーを浴びると「痛い!」と声が出た。まくった袖から出ていた両腕の一部分と顔が真っ赤に焼けていた。思えば快晴ではなかったが、日は差していた。テレワークの弊害で生まれたヒリヒリとした“うれしい悲鳴”も開幕への足音? かもしれない。【桑原幹久】