東京6大学リーグ4年生の進路がほぼ出そろった。明大・太田空マネジャー(4年=明大中野)は吉本興業ホールディングスに就職する。3年生からチーフマネジャーである主務として、チームを支えた。6大学のマネジャー経験を生かし、お笑い芸人のマネジャーを志す。

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東京・府中の明大野球部を訪れた人は、いつも気持ちよく帰路につく。「ありがとうございました!」。太田主務の元気な声に送り出されるからだ。1学年上はマネジャーが不在だったため、4年生が務めることが一般的な「主務」の大役を3年から務めた。「他の大学の方と比べると経験もない。最初は大変でした」と、屈託なく振り返る。部や監督のスケジュール管理、取材対応、連盟業務等々。多忙を極めたが、持ち前の明るさで乗り切った。

「野球部で学んだことを生かしたい。違う世界にも飛び込んでみたい」。社会人野球のマネジャーも考えたが、お笑い芸人のマネジャーを志し、吉本に進む。中学の時、2つ上の兄に誘われ、劇場に行ったのがきっかけ。そこで、兄弟コンビのサカイストにはまった。「兄弟で漫才できるんだ、すごいなって。自分も兄とやろうとは思いませんでしたけど(笑い)」。マイク1本で人を笑わせる魅力に取りつかれた。

マネジャー業の魅力は「日は当たらないけど、何か終わった時の達成感」と話す。ケガもあり、高2の新チームからマネジャーに転身。大学でもマネジャーを続けることを見越して決めた。ただ、主務になった当初は先輩の4年生に、うまく仕事を頼めなかった。善波監督(当時)から「お前がそんなんだったら、チームは動かないぞ」と指摘された。「転機でした」。自らの役割を自覚し、常に相手のことを考え行動するよう心掛けた。

3年春に日本一。善波監督に「いつも、ありがとな」と言われ、ゾクゾクした。「見てくれている人はいる。芸人さんや、その先にいるお客さんのために何ができるか。お客さんを楽しませるためにやっていきたい」。お笑い界でも欠かせない存在を目指す。【古川真弥】