プロ野球の夜明けぜよ。今季NPB初の有観客試合となった練習試合西武-ロッテ戦(高知市春野)を、ロッテ藤原恭大外野手(20)が「初回、初球先頭打者本塁打」で華やかに彩った。

昨季も10月14日のプロ1号、同16日の2号とも先頭打者本塁打。シーズン終盤の剣が峰で輝きを放った思い切りは健在だ。坂本龍馬が育った高知で「1番中堅」の座にまた前進。マリーンズの顔として最前線に立つ。

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水平線に朝日が顔を見せる。元日に高知・桂浜に集う人々は、一気にうわ~っと盛り上がる。藤原の1発も同じように、スタンドを祝賀ムードに包んだ。初回、初球。西武浜屋の内角直球を強く振ると、プレーボールの10秒後には白球は右翼席へ弾んでいた。

軽やかに走る。「よりいっそう気持ちも入るので、やっぱりお客さんが入ってくれた方がありがたいなと思います」。ロッテも西武もない。春野に集った2059人。待ち望んだプロ野球ファンが、頑固で豪快な土佐のいごっそうが、熱い拍手を送った。

若き志士は正直だ。「拍手ですか? あまり聞こえなかったです」と苦笑い。集中は極限にある。手探りで第1打席を迎えるつもりはない。1万人の視線が集まるZOZOマリンのお立ち台で宣言したのは、プロ2号となる先頭打者本塁打を放った昨年10月16日の日本ハム戦でのこと。「いつも、1打席目の1球目からホームランを打つ準備をして打席に入ってます」。

ファウルにしたら負けだと思っている。大阪桐蔭で甲子園春夏連覇のスターも、プロ1年目で痛感した。「超一流なら追い込まれてもチャンスがある。自分のレベルでは絶望的」。だから振る。ややシュート気味の難しい球も、キャンプで学んだ通りにしっかり軸足にためて狙った。

同じように、第3打席もフォークを右翼フェンス直撃の二塁打とした。3回には二塁走者として深い中飛でタッチアップ。本塁も狙うかのような勢いある走塁を見せるも「僕っすかね、それ? 全然覚えてないですね、すいません」と笑う。めくるめく一瞬の連なりにひたすら集中する。

トップは緊張する。「2番を打ちたいと思っていた」と明かしたこともある。今は違う。「1番の方が成長できると思いますし、しんどい部分もあるんですけど、より早く成長できるのかなと思います」。走攻守とも高次元の1番センター。ロッテでは荻野の代名詞だ。安田に続き、ロッテに新たな潮流を生む。プロ3年目。藤原恭大の名を刻む1年にする。【金子真仁】

◆いきなり弾VTR 藤原は昨年10月16日の日本ハム戦(ZOZOマリン)に1番左翼でスタメン出場。杉浦の3球目の直球を右中間中段に運んだ。コロナ禍に見舞われ直近8試合で5敗。2位確保に暗雲が漂い始める中、貴重な1発になり5-1で勝利。3連敗を阻止した。同14日に楽天涌井から放ったプロ1号も初回先頭打者弾。これは初球だった。「プロ1、2号とも先頭打者弾」は史上3人目の記録になった。

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