ヤクルト奥川恭伸投手(19)が、苦しみながらもプロ初勝利を飾った。

5回を10安打5失点。1回に2死走者なしから5連打を浴び、いきなり4失点。

打線が追いついた直後の3回も、広島鈴木誠に1発を浴びて勝ち越しを許した。それでも打線が奮起し、5回までに10点の援護に助けられた。降雨による54分の中断もあったが、全力で腕を振り、同期のロッテ佐々木朗希投手(19)より早く、プロ1勝をつかんだ。

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苦しんだ先に、プロ初勝利が待っていた。奥川は5回を10安打5失点で降板。好投とは言えなかったが、打線が助けてくれた。1回2死から5連打を許し、いきなり4失点。直後に打線が4得点で同点。3回には、先頭の鈴木誠に138キロの直球を左翼席中段に運ばれ、天を仰いだ。

それでも打線は3回に2点を奪い逆転。4回に1点、5回に3点を加点しリードを広げてもらうと、奥川は4、5回は無失点に抑えた。「苦しい立ち上がりでしたが、先輩たちが何度も追いついてくれて勝ち越してくれた。その気持ちに乗せられて、腕を振ることができた」とかみしめた。

星稜(石川)で夏の甲子園準優勝に輝いてから2年。神宮で記念すべき第1歩を踏み出した。星稜・林和成監督は、教え子に対し「無口なままですよ」と話す。高校時代は「はい」「大丈夫です」と口数は少なめ。ヤクルトに入団し、高校生から社会人になった。他の投手陣と今年から変わった神宮のマウンドについて、フィードバックし合うなど、積極的にコミュニケーションを取ることが増えた。恩師は「自分の主張、自分の言葉で話せるようになったかな。彼なりに大人になったんでしょうね。プロの選手になっていったんだなと思う感じはありますね」と成長を感じている。

高校時代はやらなかった遠投も、自らの考えで調整に取り入れた。今季開幕前に課題としていたフォームのバランスや、タイミングの確認がしやすくなる方法。奥川は「今は自分の中ですごくしっくりきています」とうなずいた。黙々と練習をこなしていた高校時代から、少しずつ成長を積み重ねてきた。16日が20歳の誕生日。「ステップアップをこれからしていきたい」。入団会見では沢村賞獲得を目標に掲げた。夢を現実にするために。1歩1歩着実に成長していく。【湯本勝大】

◆今季の高卒2年目投手 支配下登録13人、育成6人の合計19人おり、堀田(巨人)西純(阪神)奥川(ヤクルト)佐々木朗(ロッテ)宮城(オリックス)がドラフト1位で入団した。1軍デビューは3人で、宮城は昨年10月4日楽天戦、奥川は昨年11月10日広島戦、井上(西武)が今年の4月3日ソフトバンク戦で初登板。宮城はすでに3勝し、白星を挙げたのは奥川が2人目。

▽ヤクルト高津監督(奥川について)「間違いなくエースに育てないといけない。間違いなくエースになってもらわないと困るのが奥川。そのために1歩踏み出した。また次の1歩を楽しみに期待しています」

▽星稜・林和成監督(奥川の初勝利に)「感動しました。3回には鈴木誠也選手に真っ向勝負で本塁打を打たれたり、5回は三振で締めたり。彼にとって勉強になることが凝縮された試合。一生忘れられない試合になったでしょう」

▽ヤクルト山崎(4安打2打点。4回の1号ソロに)「先頭打者だったので、塁に出ることを心がけて打席に入りました。いい角度で上がっていい結果になりました」

▽ヤクルト西浦(3安打3打点)「今日は奥川さんが投げるということで、何とか勝たせてあげようという思いがみんなあった」

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