ロッテ有吉優樹投手とDeNA国吉佑樹投手のトレードが14日、両球団から発表された。18年6月6日、先発転向3戦目の有吉は、7回1/3を無失点と好投、18年の初勝利を挙げた。同姓のタレント有吉弘行からも祝福された当時の紙面を復刻します。(18年6月7日付、日刊スポーツより。所属、年齢は当時のまま)

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1カ月前まで中継ぎだったロッテ有吉が、8回のマウンドに立った。先発で、だ。7回まで92球。中日打線をたった2安打に抑えていた。井口監督は試合後「1回引っ張っちゃいました」と言った。予定の7回を終えても続投させたいと思わせる快投。先頭を出し、犠打で1死二塁とされて交代したが、先発初勝利はそれほどに安定していた。

5月23日の初先発から“解禁”したカーブが生きた。長く投げるにあたり球威より緩急を重視。カーブを増やし、カウントを整え、直球で圧倒した。4回1死一、二塁は1球で二ゴロ併殺に。ピンチの芽をつみ「一から試合をつくるのは大変だけどすごくうれしい。僕で連勝を止めなくて良かった」。ヒーローは安堵(あんど)した。

励みが2つあった。1つは同志の存在。5月後半から、先発ローテには同じく中継ぎから転向した同期入団の土肥がいる。新人渡辺を加えた先発未勝利トリオはここまで8試合、白星に恵まれなかった。最年長だが「年齢は関係ない。僕は転向して間もないし教えてもらうこともある。3人とも、もうひと踏ん張り」。

そして踏ん張りきれたのは、あの激励があったから。4月28日、広島ファンで知られるお笑いタレント有吉弘行が「同姓という特殊事情でロッテの有吉投手も応援しています」とツイート。「頑張って投げます」と返した。ゲームセットから9分後、新たな投稿が。

「ロッテ有吉投手!おめでとうございます!! 同姓会万歳!!」

また、見てくれていた。

井口監督も「有吉が自分でつかみ取った1勝。丁寧に低めに。見本のような投球だった」と絶賛。借金完済まであと1に迫った。

立役者は、昨季中継ぎで挙げた2勝との違いを問われ「1勝(いっしょう)は1勝なんで、一緒(いっしょ)です」と答えた。同姓会は笑いのセンスまで磨かれるのか…。うならせたところで「あ。ダジャレじゃないですよ」と付け足した。良い笑顔です。【鎌田良美】

▼生まれ 千葉・大網白里市出身。東金高、東京情報大をへて九州三菱自動車へ。16年ドラフト5位でロッテ入団。17年大みそかに結婚した。178センチ、87キロ。右投げ右打ち。

▼元営業マン 社会人時代は練習後、午後はクルマの営業。一般社員と同じ1日20軒のノルマがあり、個人と法人で約350人の顧客を抱えていた。練習中でも電話が鳴れば飛んで行き「野球より仕事のほうがしんどかったです」。

▼登場曲 ルーキーイヤーだった昨季はZOZOマリン登場曲に猿岩石の「白い雲のように」を使用。ただし決めたのは涌井。今年はナオト・インティライミ「Brave」に変えたが、先発転向を機に猿岩石に戻した。

▼先発志向 昨季は中継ぎで53試合に登板したが、大学、社会人時代は先発投手。プロ入り当時も開幕ローテーション入りを目標に掲げていた。