あの喜びを再び-。東京オリンピック(五輪)で侍ジャパンとして金メダルを獲得した楽天田中将大投手(32)が11日、2028年ロサンゼルス五輪での野球競技復活を願った。ともに東京五輪を戦った浅村栄斗内野手(30)とともにチームに合流。閉会式にプロ野球選手として初めて参加し、五輪の風を十二分に体感した右腕は、一野球人としての思いを言葉にした。後半戦初登板は21日の日本ハム戦(札幌ドーム)が有力。また、巨人坂本ら多くの金メダル侍もチームに合流した。

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田中将が金メダルを引っさげ、杜(もり)の都に帰ってきた。「重い!」「すごい!」「初めて見た…」。練習前に宝物を披露し、仲間たちの期待通りの反応に、喜びを増幅させた。侍ジャパン合流前に「みんなに金メダルを持ち帰って来られるように行ってきます」と宣言した。「みんなキラキラしていたので、持って帰って来られてよかった」と、今をかみしめた。

酸いも甘いも、全てが宝物だ。2日の決勝トーナメント初戦の米国戦に先発し3回2/3を6安打3失点。7日の決勝米国戦はブルペン待機も登板はなく「個人として思うような結果を残せなかった」。ただ、メンバー最年長としての役割に徹した。投手陣へ08年北京大会での実体験、相手の特徴、国際大会での調整法などを惜しみなく伝えた。「役に立ったのかは分からないですね」と謙遜しながら「情報を整理して伝えないといけない。(チームでも)その時々で感じたことを伝えていければ」と、立ち位置を再確認できた。

かけがえのない財産を得た。だからこそ、願う。次回の24年パリ五輪で、野球は開催されない。自身は40歳を迎える7年後、28年ロサンゼルス五輪での復活に「今回金メダルを取ったから、というのは関係なく、野球をしている身としてはいつでも復活してもらいたいと思っています」。参加希望制の閉会式には「出ます」と手を挙げ、山崎、鈴木誠、森下とともにプロ野球選手として初参加。他競技の代表選手とも交流し「絶対に出たいと思っていた。一生に1回のいい経験をさせてもらいました」と自分史に刻んだ。

まもなく、日常がやってくる。この日は全体練習に参加し軽めのキャッチボールなどで調整。後半戦初登板は21日の日本ハム戦(札幌ドーム)が有力だ。「最大の目標で日本一というところがある。(五輪での)悔しさも含めて、後半戦からその分もぶつけたい」。もう1つの金色の風景をつかみとる。【桑原幹久】

○…楽天は前半戦で先発ローテーションを支えた6人でリスタートする。後半戦初カードとなる13日からの西武3連戦(メットライフドーム)は岸、滝中、涌井、17日からのソフトバンク2連戦(楽天生命パーク)は則本昂、早川の順で先発する。田中将は21日日本ハム戦で後半戦初登板を迎え、土曜のローテーションを回っていく見込みだ。

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