阪神2軍が26日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(鳴尾浜)で引き分けを挟んで13連勝を飾り、リーグ記録に並んだ。1番江越大賀外野手(28)が逆転2ランを放つなど、2アーチを含む3安打3打点3得点。先発の藤浪晋太郎投手(27)が6者連続奪三振を記録するなど、7回12奪三振1失点と快投した。懸命に首位を走る1軍に加わろうと、ギラついた虎軍団が目の色を変えている。

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平田2軍監督は連勝記録到達の直後、穏やかな笑顔で選手と「エアハイタッチ」を繰り返した。その過程に喜びを感じていた。

「13連勝は選手が1軍に上がってなんとか力をつけようという結晶。投手もみんな競争している。中継ぎもみんな抑える。高山のバント(犠打)にしても、あえてさせている。そういうところでモチベーションをしっかり持ってやっている結果。それしかない」

勝利の象徴は人一倍ギラつく男、1番江越だった。1点を追う3回に左腕佐藤一からバックスクリーン左に逆転2ラン。7回にも左腕斎藤のスライダーを左翼防球ネットに跳ね返らせた。ただ、2アーチ以上に指揮官が評価した1本が、成長を印象づけた右前打だ。

誰もが認める潜在能力の持ち主ながら、今季も1軍31試合出場で3打席無安打。課題とされる右投手の外角変化球に対応しようと日々、鳴尾浜で汗を流す。

この日は5回、右腕鈴木に1ボール2ストライクと追い込まれた後、外角低めスプリットに食らいついて右前へ運んだ。「確率を上げるためにポイントを近くしてコンパクトに打つ練習を意識している。打撃マシンでも詰まりながら打つ意識で」。そんな姿を知っているから、平田2軍監督は「今日はあれを評価したいねん」と力を込める。

試合後、江越は浮かれることなく現状を見つめ直した。「もちろん1軍の戦力としてやりたい。まずはここで結果出さないと上がれない」。心震える秋の甲子園を奪い取るために。16年ぶりのV奪回へ、虎の刺激剤が鳴尾浜で着々と量産されている。【佐井陽介】

▽阪神矢野監督(2軍の13連勝について)「もちろんファームは勝つことだけが目的ではない部分もある。でも戦う以上負けていいと思わないし、連勝続くっていうのはそれぞれがいい働きというか、そっちに行って悔しかったり、いろんな思いをもってやってくれてると思う。13連勝で平田さんが一番喜んでるんじゃないですか(笑い)」