ロッテは31日、元広島の小窪哲也内野手(36)の獲得を発表した。昨オフに広島を退団し、今年6月から独立リーグ・九州アジアリーグに属する「火の国サラマンダーズ」でプレーしていた。

期限ぎりぎりの8月末の電撃獲得となった。井口資仁監督(46)は「右の代打が今年前半から全くいなくて、球団に何とかお願いしていたところ」と獲得理由を説明した。

逆転優勝へ、代打の強化は1つのポイントだった。今季は30日時点で135度の代打起用があり、代打の打率は2割3分1厘、出塁率は2割9分1厘。得点圏での代打打率は1割6分3厘。いずれも、決して高い数値ではない。

ソフトバンクとの開幕戦、リードを許していた9回に代打吉田が本塁打を放った。開幕3戦目でも9回、代打角中の安打の後、代打菅野が一時同点となる2ラン。選手層の厚さを感じさせたが、その後は交流戦に入る前、59人が代打に立ち、8安打3打点と低迷した。

昨年は清田が右の代打の切り札的存在だったが、内規違反で、今季は昇格することなく退団した。現在は右打者でいえば、調子を上げている山口や岡がよく代打で起用される。ただ、山口はスタメン起用もあり、岡は代走としても貴重な存在だ。決して「左対右」の起用に限定されてはいないものの、本来は代打1番手になる左の好打者・角中は、ここまで代打では18打数2安打2打点と、スタメン時と比べると苦戦する。

井上は右手首を痛め、2軍でリハビリに入った。エチェバリアも左手首痛で打席数が減っている。鳥谷も2軍で調子が上がらない中、しぶとく勝負強いタイプの小窪は、現状のチームにフィットしうる存在といえる。また、今季はチーム全体で代打の犠打失敗が3度あった。1点の価値が高まる優勝争いで、経験豊富なベテランが渋く光る場所はありそうだ。井口監督は「2軍で打席に多く立ってもらって、調子が上がってきた時に」と昇格時期を見定めていく。【ロッテ担当=金子真仁】