首位阪神が大山悠輔内野手(26)のアーチで逆転勝ちした。3-3の6回2死一塁、ヤクルト2番手大下から勝ち越しの16号2ラン。前夜は投手陣が18安打を浴び、12失点、打線も2安打で零敗といいところなしだったが、頼れる主将が大きな仕事をした。9月の4勝は全て逆転で、大山は全てで立役者となっている。最下位DeNAに敗れた2位巨人と2・5差、3位ヤクルトにも3・5差をつけた。

   ◇   ◇   ◇

またも試合を決めた。大山は強くスムーズに振り抜いた後も、バットを両手で握りしめ続けた。長距離砲にだけ許される、感触を楽しむ時間を満喫。ゆっくりと走りだした。

「最悪後ろにつなぐ、良くて長打という場面で最高の結果が出て良かった。それが勝ちにつながったことが本当にうれしいです」

同点の6回2死一塁、フルカウント。2番手大下の甘く入ったスライダーを逃さなかった。左中間最深部席へ16号勝ち越し2ランだ。今季13度目の決勝打は巨人岡本和と並んでリーグ最多。完敗した前夜の悪夢を、甲子園の夜空に吹き飛ばした。

この日もバットのヘッドを投手側に向けて構えた。周囲から修正を提言されることもあったが、数々のアドバイスに感謝した上で自分の考えを貫いている。

「10人いれば10人の考え方がある。でも、自分にしかできないこともある。それをブレずに貫けるか貫けないか。思ったようにバットを出せるのであれば、最初にバットがどこを向いていても関係ない。僕にはそれが一番意識しやすい構え方なので」

バットを体に巻きつけるイメージを重視する上で、最もフィットした形。フォーム微修正を続けた不振時も、大きく構えを変えることはなかった。懸命に築き上げた芯を信じて復調を図り、直近の8試合は25打数10安打で打率4割、2本塁打、8打点。間違いなく状態は上がっている。

9月の4勝すべてで甲子園のお立ち台へ。劇的な逆転勝利を先導し続けている。これで今季打点を挙げれば29勝4敗で7連勝中。それでも試合後に「その後、投手陣がゼロで抑えてくれたからの勝利。チーム全員の勝利」と強調する姿がまた大山らしい。

「負けていても、落ち込むことなく常に前を向く。ずっとそういうチームでやっている。最後まで何があっても諦めないという全員の思いが、しっかりいい方向に向いている。この先いろんな試合が続くと思うけど、そういう気持ちを忘れてはいけない」

2位巨人とのゲーム差は2・5、3位ヤクルトとは3・5に広がった。勝負の秋。頼れる主将の上昇気配が、何よりの起爆剤となっている。【佐井陽介】

◆大山のVアーチ Vアーチはサヨナラ弾を打った9月4日巨人戦以来今季6本目。V弾6本は、セ・リーグでは岡本和(巨人)8本、鈴木誠(広島)丸(巨人)各7本に次いで多い。

阪神ニュース一覧はこちら―>