キング・ラオウが、自力優勝消滅のピンチを阻止した。

オリックス杉本裕太郎外野手(30)が楽天戦(楽天生命パーク)の8回に決勝の27号2ラン。この試合を落とせば今季ワースト5連敗で初の同一カード3連敗となるところだったが、本塁打部門単独トップの千金弾でチームの危機を救った。8回1失点と好投した先発の田嶋にも、6月30日以来の白星(6勝目)を送った。

  ◇  ◇  ◇

キング・ラオウが、自力優勝消滅を阻止した。オリックス杉本裕太郎外野手(30)が決勝の27号2ラン。負ければ今季最長5連敗。ロッテに優勝マジック26が点灯する瀬戸際だったが、本塁打部門単独トップの千金弾で、チームの危機を救った。1-1の8回1死二塁。安楽の149キロ真っすぐを、バックスクリーンへ豪快にたたき込んだ。

杉本 最近、全然点が取れず、投手に負担ばかりかけて本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。前の2人がつないでくれて、最高の結果で点を取ることができてよかったです。

先頭出塁した宗、犠打を決めた紅林、そして力投の先発田嶋に感謝。そして“名もなき虫”にも感謝だ。

杉本 ホームラン打つ何球か前に、打席の前に虫がおったんですよ。危ないから(はらって)、助けてあげたら打てました。虫に感謝したい。いいことしてよかった。

72打点はリーグ3位で打率3割1分は同4位。残り29試合。打棒全開で打ち続ければ3冠も夢ではない。

3、4番で打線をけん引してきた吉田正が負傷離脱。現在、杉本が腰に巻く黒ベルトは吉田正の物だ。「スライディングしてベルトが切れたので、もらったんです」と照れるが、後輩の無念を共有し、ベルトとともに戦う。「いつ治るん? とかLINE(ライン)したら『頑張れキング』って言われて」と逆に励まされ、決勝弾につなげた。

15日の試合前、T-岡田の仕切りで野手ミーティング。「こういう時こそ積極的に、初球凡退でもいいから思い切って振っていこう」と全員で答えを出した。4回の同点は、杉本の積極走塁が導いた。敵失で出塁すると二盗を仕掛け、捕手の悪送球を誘って三塁へ。モヤの一ゴロで追いつき、勝利への流れをつくった。

首位ロッテとの差を3・5に縮め、18日から本拠地で西武を迎え撃つ。「早い段階から野手みんなで点を取れるように頑張っていきたい」。仙台の空に決めた昇天ポーズ。逆転Vは諦めない。【堀まどか】