高校屈指のスラッガーが甲子園に帰ってくる! 智弁学園・前川右京外野手(3年)は阪神から4位指名され、「素直にうれしい気持ちです。自分のことを一番思ってくれた家族にありがとうと言いたいです。伝統がある球団なので活躍出来るように必死で頑張りたい」と喜んだ。

酸いも甘いも味わった甲子園の経験をプロで生かす。高校3年間のうち、春夏3度、交流試合を含めると4度聖地の土を踏んだ。今年のセンバツは10打数2安打で打率2割と本領を発揮できず8強止まり。その悔しさをバネに、今夏の甲子園では、横浜との2回戦でバックスクリーン左へ2ランを放つなど2本塁打で準優勝に貢献した。「甲子園のグラウンドの距離感であったり、打席から見る景色は人より多く立たせてもらっている。入団したら誰にも負けないように、必死に頑張りたいです」。

前川は目標の選手を聞かれると、左のスラッガーの名を挙げた。オリックス吉田正だ。「体が全くブレないし、とらえられるところに憧れている。そういう選手になりたい」。豪快なフルスイングで1軍の舞台を目指す。近くでバットを振り込む姿を見てきた小坂将商監督(44)は「1年から甲子園を経験して、いろいろあった。スランプもあったし、悔しい思いもしたと思うけど、前川にとってもいい経験になった。甲子園が本拠地なので近いですし、自分も応援に行きたい」とエールを送った。

前川はワクワクした表情で言った。「阪神ファンの皆さんは毎試合、会場に足を運んで来てくれる。そこで自分も早く野球が出来ると思うと楽しみな気持ちでいっぱいです」。夏の甲子園を沸かせた高校球児が、プロでも大暴れする。【三宅ひとみ】