長いトンネルを抜け、CS進出への光がすぐそこに見えた。巨人が14試合ぶりの白星で連敗を10で止め、CS進出へのクリンチナンバーを「1」とした。同点の7回1死、丸佳浩外野手(32)が決勝の21号ソロ。畠、中川、デラロサ、ビエイラの必死の継投で1点のリードを守りきった。残りは2試合。チーム一丸で“揚々と”戦い抜く。

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原監督は揚々とグラウンドに出て、ナインと18日ぶりの1勝をかみしめた。13試合勝ち星がなく、3分けを挟み10連敗と長かったトンネル。「トンネル…、もっと長いぞ」と笑みを浮かべながら、報道陣に「トンネルのもっと長いのは何て言うんだよ?」と逆質問し、また笑った。

1点のリードを必死の継投で守った。7回は2死から左打者の楠本に対し、畠から左腕の中川へとスイッチ。8回先頭の佐野まで続投し、牧からの右打者3人には右腕のデラロサを投入した。9回はビエイラが完璧な投球で締め、チーム一丸で勝利を飾った。

練習日だった今月18日。原監督は「国民的行事」と語り継がれる94年の「10・8決戦」を引き合いに大勝負を制する心得を説いた。中日と同率首位で迎えたシーズン最終戦、槙原、斎藤、桑田の先発3本柱の投入で劇的勝利を飾ったが、この日は「勝利の方程式」をイニングまたぎでつぎ込み、接戦を制した。

試合を決めたのは、丸の1発だった。同点の7回1死、大貫から決勝の21号ソロ。今季は2軍落ちを経験するなど、苦しんだ男がここ一番で値千金の1発を放った。2点を追う2回にはウィーラーが同点の15号2ランを放ち、ベンチ前で「くるりんぱ」を披露。丸の1発ではチーム全員で「丸ポーズ」を決め、一体感が生まれた。

CS進出へのクリンチナンバーを「1」とし、王手をかけた。原監督は「チームというのは1人では勝てないし、全員の力を結集しないとなかなか相手を制することはできない」と勝負の厳しさを感じながら「野村(克也)さんが『負けに不思議の負けなし』と。まさにそうだし、『ああ、良かった』じゃなくて、1人1人が肝に銘じるというところが大事なところ」と胸に刻んだ。【久保賢吾】