オリックスが今季最終戦で奪首した。エース山本由伸投手(23)が楽天を4安打完封し、球団記録を更新する15連勝で18勝目(5敗)を挙げた。

2種類のフォークを操って初の200奪三振もクリア。チームは貯金15で、山本は1人で貯金13を稼いだ。これぞエースという働きで、2年連続最下位のチームを押し上げた。25年ぶり優勝の行方は27日以降に3試合を残す2位ロッテの結果次第。人事は尽くした。天命を待つ-。

   ◇   ◇   ◇

極度の緊張状態でも、オリックス山本は動じない。優勝に望みをつなげたい最終戦。13年に24連勝を飾った楽天田中将との投げ合いを制し、15連勝で18勝目をつかんだ。東京五輪で金メダルも獲得し、飛躍の1年となった21年。ふと思い返すのは、初詣の帰り道。岡山・倉敷市の「鷲羽山(わしゅうざん)ハイランド」でのバンジージャンプのことだ。

「めっちゃ怖いんですよ! 震えたっすけど、勇気が出た。もう、なんでもいける! みたいな感じ」

高さ30メートルから飛び降りる。海抜170メートルで「下は見ていられなくて」と苦笑い。つま先10センチが空中に浮き、かかと部分のみで数秒間、直立不動した。「足ガクガクですよ。今思うとオリンピックのマウンドに似てたかも、あの震え方。震えが…ヤバかった!」と無邪気にメンタルを鍛えた。

そんな捨て身の精神強化が実って? この最終局面で今季4度目の完封勝利。肝っ玉が据わっている。【オリックス担当=真柴健】